第516章 孫娘を守る

高倉海鈴は冷ややかに鼻を鳴らした。「久保さんだけはまともな人ね。でも、私に対して良くしてくれるのも久保家の名誉のためでしょう。あの久保の奥様ときたら、救いようのないバカで、しかも私に敵意を向けてくるの。本当に理解できないわ」

藤原徹は目を伏せた。

実は彼も、なぜ久保夫婦が養女をより可愛がるのか理解できなかった。

実の娘が家に戻ってきたのに、少しも喜ばず、むしろ厄介者扱いするなんて。

おそらく、彼らは高倉海鈴をただの野育ちの娘だと思い、久保真美を心血を注いで育てた一流令嬢だと考えているのか、あるいは他に理由があるのかもしれない。

高倉海鈴は唇を噛んだ。「母の件は必ず解明しないと。だから、もう数日久保家に滞在するわ。それに、あの久保の奥様には何か秘密がありそうなの」

「以前の調査では、久保の奥様は実の姉とは一緒に育っていないけれど、姉妹なので仲は悪くなかったはず。当時、彼女の姉が私を助けてくれなかったら、私はどこをさまよっていたか分からない。つまり、姉が彼女の実の娘を救ったということ。普通なら感謝するはずなのに、彼女はそうは思っていないみたい」

「あなたも調査したでしょう？夏目家は大阪の名門貴族で、百年の歴史を持つ家柄よ。二人の娘は嫁ぐまで門外不出だったはず。でも見てよ、久保の奥様のあの荒っぽい態度。そんな家柄の娘らしく見える？」

藤原徹は冷静な表情で「青山家の当主と当主の夫人が東京に来たよ。おそらく君のために来たんだろう」と言った。

高倉海鈴の目が輝いた。「来てくれたの！」

「彼らは君のために一つのパーティーを開くつもりだ。久保家も招待されている」

高倉海鈴は微笑んだ。久保家の人々は自分から何も得られなかったのに、お兄さまたちが何の仕返しをするというの？でも、パーティーでの久保家の人々の困った表情を見るのが楽しみだわ。

……

その時、帝京の西村家では。

「奥様、久保家が実の娘を見つけたそうです」

優雅な陸田おばあさまがソファに寄りかかり、目を細めて心地よさそうにしていた。

彼女は目を開け、年は取っているものの手入れが行き届いており、顔にはほとんどしわがなかった。「彩美の子が見つかったの？」