会場は静まり返り、久保真美は歯ぎしりするほど憎らしかった。この生意気な女め、認めようとしないなんて。
確かに彼女は意図的に高倉海鈴をここに誘い出し、罪を着せようとしたのだ。今や目的は達成されたのだから、高倉海鈴とこれ以上無駄話をする必要はない。
久保真美は頬と胸の痛みを必死に耐えながら、震える声で言った。「青山の奥様、もし私の言葉を信じていただけないのでしたら、防犯カメラを確認しましょう」
高倉海鈴を確実に陥れるため、彼女は事前に調査もしていた。この場所は人目につきにくいものの、防犯カメラが一台あり、ちょうどここを映せる位置にあったのだ。
今や大勢の目の前で、防犯カメラを確認さえすれば、高倉海鈴が姉を殴ったという罪は確定的なものとなるはずだった。
しかし、青山の奥様は嘲笑うように笑った。
「久保さん、ここは人目につかない場所で、防犯カメラはありませんよ」
久保真美は目を見開いた。防犯カメラがないはずがない。
以前確かに防犯カメラ室に行き、ここにカメラがあるのを確認したはずなのに、なぜ青山の奥様はないと言うのか?高倉海鈴を庇っているのか?
久保真美は思わず身震いした。パーティーの始まりから、青山の奥様は何となく高倉海鈴の味方をするような発言をしていた。そして今また、防犯カメラがないと言う。
彼女は悔しそうに口を開いた。「青山の奥様、青山家の庭になぜ...なぜ防犯カメラがないはずがありますか?カメラを確認すれば、妹が私を殴ったのが分かるはずです。本当にカメラがないのですか、それとも見せたくないだけなのですか?」
「青山の奥様、私は冤罪です!お願いですから防犯カメラの映像を見せてください!」
周りの人々は困惑した様子だった。確かに久保家の方々の評判はよくなく、久保真美という養女も冷酷な性格で知られていたが、今の彼女は誠実そうに見え、嘘をついているようには見えなかった。もしかして本当に高倉海鈴が手を上げたのだろうか?
久保真美は周りの人々の不確かな視線を見て、口元に笑みを浮かべた。
やはり自分の味方をしてくれる人がいると分かっていた。これだけ悲しそうに泣いているのだから、信じない人などいるはずがない。
高倉海鈴に何発か平手打ちされたとはいえ、これを機に高倉海鈴の評判を落とすことができるなら、それも悪くない。