第594章 明らかな敵と隠れた敵

久保真美は失望に満ちた目で、「実は、この誕生日は彼女のものでもあるんです...」

その時、久保政宗が階段を降りてきて、高倉海鈴の名前を聞くや否や爆発した。「真美!兄さんがいる限り、海鈴の誕生日パーティーはガランとしたものにしてやる。僕の友達を全員呼んで、お前の誕生日パーティーを盛大にするよ」

久保政宗は今日やっと釈放されたばかりで、かなり憔悴していた。普段から贅沢な暮らしをしていた坊ちゃまが警察署に何日も拘留されて、心の中の怒りは頂点に達していた。

久保真美は苦笑いを浮かべながら、「お兄さん、でも彼女こそがあなたの妹なのよ」

「馬鹿なことを!俺の妹はお前一人だけだ!」

久保紫乃は高倉海鈴が自分の服を奪い、真美をいじめ、さらに政宗を怒らせたことを思い出し、目を輝かせた。「真美姉、政宗兄、私にいい考えがあるわ。海鈴を社会的に抹殺できる方法よ」

久保政宗は冷たい表情で「聞かせてみろ」

久保紫乃が小声で自分の計画を説明すると、久保政宗の表情は得意げから興奮へ、そして最後は大笑いへと変わっていった。

佐藤愛美も嬉しそうに「いいわね!その案はすばらしいわ!高倉海鈴はきっと面目を失うわ。そうなったら、彼女に久保家のお嬢様を名乗る資格なんてないわ」

久保真美は目を伏せて黙っていたが、その瞳には危険な光が宿っていた。

計画は久保紫乃が考えたものだから、万が一ばれても身代わりがいる。面倒な手間が省けるというものだ。

「お兄さん、これは少し行き過ぎじゃないかしら。どう考えても海鈴は両親の...」久保真美は眉をひそめ、善良なふりをした。

久保政宗はそれを聞いて、妹の優しさにますます感心し、高倉海鈴がこんなに素晴らしい真美をいじめたことに怒りを覚えた。冷ややかに鼻を鳴らして「あいつは久保家の人間じゃない!俺たちとは何の関係もない!お前をいじめた報いを受けさせてやる!」

佐藤愛美も同調した。「政宗兄の言う通りよ。あの子はあなたの部屋を奪い、今度はあなたの立場まで奪おうとしている。これ以上躊躇う必要なんてないわ。あなたは優しすぎるのよ。これはあなたがやったことじゃないんだから、罪悪感を持つ必要なんてないわ!」

久保真美は皆の頑なな様子を見て、仕方なく頷くしかなかった。

...

その時、別荘の門の外で、二人の背の高い男が冷たい表情で立っていた。