「でも夏目城が突然地方へ転勤することになり、娘の一人を連れて行きたいと言い出したの。私は子供と離れたくなかったけど、当時6歳だった夏目彩美がどうしても一緒に行きたいと言い張って。秋と沙織は彩美と離れたくなくて、泣いて引き止めたのに、結局彼女は夏目城についていってしまったわ」
「その頃、私は末っ子を恋しくて頻繁に電話をしていたの。彼女は、お父さんが長く家を離れると家族と疎遠になってしまうから心配で、一緒についていったのだと言っていたわ。私はとても感動して、まだ6歳なのにとても思いやりのある子だと思ったの」
「夏目城は男だから、子供の面倒なんてろくに見られないでしょう。彩美が苦労するんじゃないかと心配で、半年ごとに一ヶ月ほど家に呼び戻していたの。姉妹の仲も本当に良くて、何でも話し合える関係だったわ。二人を引き離すのが忍びなくて、彩美に戻ってくるように提案したら、彼女も同意してくれたの」