第636章 藤原俊介は殺人容疑

記者たちも大きな波風を見てきた人々で、名門家族の内情がどれほど深いかを知っていたが、この一団が藤原会長の差し向けた者だとは思いもよらなかった。藤原社長が事故で重傷を負っているのを知りながら、これらの人々を送り込んで藤原奥様を脅し、藤原財閥の継承権を争おうとしていたのだ。

藤原家の傍系の子供たちは凡才ばかりで、たとえ藤原グループを彼らに任せても名目上のことに過ぎず、実権は依然として藤原俊介の手中にあるだろう。

今となっては、この事故の黒幕は明らかになってきた。しかし、皆には信じがたかった。金と権力のために、藤原俊介が自分の実の息子に手を下すなんて？

証人とビデオの証拠があり、警察は迅速に容疑者を特定し、逮捕状を請求して、直接藤原の本家に突入した。「藤原会長、あなたは殺人未遂の容疑がかかっています。捜査にご協力願います。」

その時、藤原俊介はちょうど商談中で、相手は驚いて藤原俊介を見つめた。「藤原会長、あなたは……」

藤原俊介は顔色を曇らせ、大声で叱責した。「馬鹿な！証拠があるのか？理由もなく藤原家に押し入るなんて、不法侵入だぞ！」

目の前の警察官が一般人なら、藤原俊介はすぐにボディガードに命じて追い払うことができただろう。しかし、訪れたこの警察官は東京の超一流名門、深見家の若旦那だった。この深見若旦那は商売には興味がなく、警察官になることを志し、今では東京警察署で名の知れた刑事となっていた。

藤原俊介が深見若旦那を追い払えば、深見家全体と敵対することになる。

深見警部は逮捕状を提示し、無表情で言った。「藤原会長、あなたは法律に違反しました。逮捕する正当な理由があります。捜査にご協力ください。さもなければ、強制措置を取らざるを得ません。」

商談相手はこれを聞くや、すぐに言い訳をして退席した。

藤原俊介は怒りで体を震わせながら、「藤原徹！」と叫んだ。

深見警部は嘲笑うように言った。「藤原会長、まだどの事件の容疑かお伝えしていませんが、なぜ藤原社長に関係があると分かったのですか？」

藤原俊介は落ち着きを装って言った。「捜査には協力しますが、はっきり言っておきます。事故のことは私とは無関係です。藤原徹のあの不孝者め、自分の父親を疑い、警察まで差し向けるとは、なんと素晴らしい息子でしょうね！」