第642章 体内の悪魔が目覚めた

一時間後、高倉海鈴は階段を上がり、藤原徹は書斎で仕事をしていた。彼は冷ややかな目つきで、彼女が入ってくるのを見て、無関心に尋ねた。「藤原明は帰ったのか?」

高倉海鈴は眉をひそめ、すぐには答えなかった。

藤原徹は顔を上げることもなく、静かに言った。「もう遅いから、部屋で休んだら?」

高倉海鈴は少し躊躇して、心配そうな目で「あなたは休まないの?」と尋ねた。

「まだ少し仕事が残っていて、明日の会議で使うんだ。藤原財閥で重要な会議があるんだが、時間があれば、一緒に来ないか」

高倉海鈴は不思議に思った。藤原徹はいつも彼女に仕事のことを関わらせなかったのに、今回はなぜ突然会社の会議に同行させようとするのだろう?

心に疑問は残ったものの、高倉海鈴はためらうことなく頷いた。

高倉海鈴は書斎を出て、ドアの前で突然足を止め、振り返って藤原徹を見た。彼は冷静な目つきで真剣に書類を見つめており、普通に見えた。おそらく先ほどは体調が悪かっただけなのだろう。