第648章 奇妙な藤原徹

【このサビ、すごくいい曲だね!フルバージョンが楽しみ!】

【こんなスタイルの曲は初めて聴いたわ。斬新で素敵、久保真美さんのオリジナル曲なのね!】

【すごい!久保真美さんって作曲もできるんだ!さすが藤山さん、多才で美人だし、うらやましい!】

高倉海鈴はコメント欄を一瞥し、久保真美の曲がどれほど良いのか気になって、音声を再生した。サビの部分だけだったが、久保真美の声は普通だったものの、この曲は……

どこかで聴いたことがあるような気がする。

高倉海鈴は急に思い出し、すぐにあの小さなウェブサイトを見つけて自分のアカウントにログインしようとしたが、ユーザーが存在しないと表示された。

彼女のアカウントが消えた?

高倉海鈴は目を細め、すぐにノートパソコンを開き、クロシオのアカウントでログインして、サイトの管理画面に侵入し、記録を確認した。

以前、彼女は少しの間作曲を学び、サイトに「佳樹」というアカウントを作って十数曲のオリジナル曲を投稿していた。ただし完成度は高くなく、その後服飾デザインのコンテストで忙しくなり、作曲は諦めていた。

その後も暇な時に曲を作ることはあったが、アップロードはせずにパソコンに保存していただけだった。まさか自分のアカウントが突然削除されるとは思ってもみなかった。

高倉海鈴はソファに寄りかかり、意味深な表情を浮かべた。このサイトは7、8年も運営されており、評判も良く、理由もなくユーザーのアカウントを削除するようなことはしない。もしかしたらこれはサイトの問題ではなく、ハッカーの仕業かもしれない。

長年作品を投稿していないアカウントは人々に忘れられており、今回のミュージックフェスティバルがなければ、高倉海鈴自身も音楽アカウントの存在を忘れるところだった。だからこのアカウントを消すのは難しくなかったはず。

考えてみれば、彼女と久保真美は縁があるものだ。久保真美は復帰して人気を得るチャンスを手に入れたのに、彼女の曲を盗作してしまった。

高倉海鈴は突然閃いた。もしかして久保真美はプラネットミュージックフェスティバルの優勝者なのではないか?

彼女は口元に笑みを浮かべ、パソコンを閉じた。

傍らの藤原徹は彼女をずっと黙って観察していた。咳払いをして尋ねた。「どうしたんだ?」