第703章 私は自分の目を信じる

客たちはすぐにその夫婦が木村家の当主と木村の奥様で、そばにいる少女が木村家の令嬢、木村香織だと気づいた。

伊藤仁美は不安げに藤原の祖母を見つめていた。祖母は体調が悪いと聞いていたのに、どうして何ともないように見えるのだろう?

山本先生は二幅の書をすでに片付けており、陸田進はようやく安心して前に進み出た。「おばあさま」

藤原の祖母は彼に一瞥すら与えず、直接藤原徹と高倉海鈴に向かって親しげに手を振った。「徹や、海鈴、おばあさまのところに来なさい」

陸田進の表情が一瞬凍りついたが、すぐに平常に戻った。

周りの人々は彼に同情した。「おばあさまがこの孫と孫嫁を可愛がっても何の意味があるのか。一番大切な誕生祝いに贋作を贈るなんて。それに比べて陸田若旦那は心を込めたのに、おばあさまは目もくれない」