第723章 松下さまの証言

藤原徹は陸田家に失望していた。彼にとって陸田家など蟻のような存在で、望めばいつでも潰せる。彼はただ自分の身分を取り戻し、正当に陸田さんの息子になりたかっただけだ。

陸田家の人々は本当に厚かましい。自分たちが藤原徹の心の中でそれほど重要だと思っているのか?藤原徹は偽善的な陸田家など眼中にないのだ!

陸田進は心の不安を抑えながら、「軽はずみな行動は避けよう。まずは松下さまの話を聞いてみよう。もし事態が露見したら、山田莉央にすべての罪を被せて、彼女に責任を取らせればいい」と言った。

陸田渚は一瞬躊躇して、「進、でも彼女は...あなたの母親よ...」

陸田進は冷たく言った。「この状況では、自分たちを守るしかない。彼女と陸田家、どちらかを選ばなければならないんだ」

陸田渚も事態が露見すれば陸田家に累が及ぶことを理解していた。山田莉央を見捨てるしかないのだが、どう考えても山田莉央は陸田進の実母であり、彼は躊躇なく実の母親を身代わりにしようとしている。しかも山田莉央はこれまで悪事を重ねてきており、もし藤原徹の手に落ちれば、きっと悲惨な結末を迎えることになるだろう。

次の瞬間、陸田進はさらに衝撃的な言葉を発した。「もしこの秘密が暴かれたら、山田莉央を消すしかない。藤原徹が私のDNAと山田莉央の鑑定をすることを防ぐためだ。それは私にとって不利になる。秘密が暴かれなければ、彼女はこの地位に留まれることを約束しよう」

陸田渚は目を見開き、恐怖を覚えた。陸田進の行動が後顧の憂いを避けるためだと分かっていても、その冷酷な心に思わずぞっとした。

松下さまが現れると、山田莉央の顔色は真っ青になり、体は激しく震え、歯を食いしばって声を出すまいとした。

「山田さん、当時私はあなたの要求通り、偽のDNA鑑定報告書を作成しました。そのような行為の報いで、私は肺がんの末期で余命僅かです。この世を去る前に、すべてを明らかにしたいと思います」

山田莉央の指先は掌に食い込んでいた。二十年以上守り続けた秘密が、まさか松下さまによって暴かれるとは。

「いいえ!」

山田莉央が力なく叫んだ後、松下さまは藤原徹に向かって、皆の視線の中でゆっくりと口を開いた。「藤原社長こそが当時のあの子供でしょう!申し訳ありませんでした、私は...ゴホッゴホッ...」