「大長老」高倉海鈴は口を開いた。「山田さんがこの件を認めないのなら、直接証拠を出してください!」
医師会のメンバーは公衆の面前で録画を再生した。二十年前、山田莉央は松下さまの住居に駆け込み、必死に懇願し、命の恩義を盾に取って、松下さまに彼女と陸田汐のDNAを入れ替えさせ、藤原徹が彼女の息子であることを証明させた。
その後は、藤原明のことだった。
映像の中で山田莉央は妊娠を装い、松下さまに偽装を手伝わせ、さらに赤ん坊を連れてきて自分の子供のふりをした。その子供こそが藤原明だった。
映像は鮮明で、そこに映っているのは間違いなく若かりし頃の山田莉央で、否定の余地はなかった。
この時、皆はようやく松下さまの言っていたことがすべて真実だと気付いた。彼は当時、山田莉央への恩返しのために親子鑑定報告書を偽造し、藤原徹に二十年もの間、私生児という汚名を着せることになってしまった。