第680章 彼にもこの世界を見る資格がある

藤原徹は淡々と言った。「私もそう思っていた。彼に代わりに行かせるのが一番いい方法だ」

高野司は眉をひそめて尋ねた。「社長、彼を目覚めさせたままにして、完全に社長の立場を奪われる心配はないんですか?」

「この体は私だけのものではなく、彼のものでもある。それに、彼は私のために多くの問題を解決してくれた。彼を永遠に闇の中で眠らせておくわけにはいかない。彼にもこの世界を見る資格がある」

高倉海鈴は階段を降りてきた時、二人の会話を耳にした。藤原徹が戻ってきたことは知っていたが、彼がこのような言葉を口にするとは思わなかった。やはりこの二つの人格は互いに利益をもたらし合っており、彼らの間に競争関係は存在しないのだ。

彼女は部屋に戻り、電話をかけた。「叔父さん、お聞きしたいことがあります」