第779話 2人の兄の誤解

高倉海鈴は目を輝かせ、頬を赤らめながら、期待に満ちた眼差しで藤原徹を見つめた。「徹!本当に私を冬島志津に会わせてくれるの?」

藤原徹は彼女の希望に満ちた眼差しを見つめ、優しく微笑んだ。「ああ」

藤原奥様にこれだけのヒントを与えたのに、まだ気づいていない。彼女が自分で冬島志津の正体を推測するのを待っていたら、永遠に待つことになりそうだ。

しかし、なぜ藤原奥様はある時はとても賢く、またある時はこんなにも愛らしく鈍いのか、理解に苦しむ。

皆が食事を終えかける頃、高倉海鈴と藤原徹は席を立って一時的に席を外した。二人が離れた隙に、青山博之は周りを見回してから鈴木薫の袖を引き、小声で言った。「君に話したいことがある」

「何だ?」

青山博之は言いよどみ、微妙な表情を浮かべた。「三男から聞いたんだが、この前、海鈴が彼にある薬を求めたらしい」