第846章 青梅竹馬

高倉海鈴は一瞬固まり、声を震わせながら言った。「私は行きません。あなたは何しに行くの?いつもこういう場所は好きじゃないはずでしょう?」

空気が数秒間静まり返った後、藤原徹は軽く笑って言った。「ネックレスを買いに行かなければどうするんだ?心配するな、すぐに戻ってくるから」

彼女はネックレスなど要らなかった。ただ藤原徹に正体がばれることを恐れていた。でも変装しているから、きっと気づかれないはず。ただ彼を避けられれば大丈夫。

そう考えると、高倉海鈴の胸のつかえが少し下りた。

藤原徹は腕時計を見て、時間が迫っていることを確認すると、立ち上がって命じた。「高野広、奥様の薬を買ってきて、家で彼女の面倒を見ていろ」

面倒を見る?高倉海鈴には、藤原徹が高野広に自分を監視させているように思えた。でも大丈夫、高野広の頭脳では彼女を見張れるはずがない。ドアに鍵をかけて寝室で休んでいるふりをすればいい。