第856章 授賞の贈り物

一方、授賞式の関係者たちは既に東京に到着しており、彼らは事前に市内最大のコンサートホールと連絡を取り、そこで佳樹さんに賞を授与し、世界中に生中継することを決めていた。

以前はこの授賞式にあまり関心を持っていなかった人々も、盗作疑惑がネット上で炎上し、伊藤仁美が伊藤家のお嬢様であり、さらにこの盛大な授賞式が東京で開催されることから、この一大イベントに注目せざるを得なくなった。

しかし、授賞式ではトロフィーの他に、主催者側が伊藤仁美に古琴を贈る予定だった。そこで担当者は山田透に尋ねた。「山田さん、あなたは事前にチャリティーオークションと連絡を取って、その古琴を佳樹さんのために確保されていたのですか?」

山田透は心臓が震え、罪悪感から頭を垂れた。プラネットミュージックフェスティバルの授賞者として、物を買うのに予約が必要だろうか?彼が欲しいと言えば、相手は喜んで持ってくるはずだった。彼は確かにその琴を予約していなかった。まさかこんなに早く誰かがその琴を落札するとは思わなかったし、その女性が琴を手放そうとしないとは。