一方、授賞式の関係者たちは既に東京に到着しており、彼らは事前に市内最大のコンサートホールと連絡を取り、そこで佳樹さんに賞を授与し、世界中に生中継することを決めていた。
以前はこの授賞式にあまり関心を持っていなかった人々も、盗作疑惑がネット上で炎上し、伊藤仁美が伊藤家のお嬢様であり、さらにこの盛大な授賞式が東京で開催されることから、この一大イベントに注目せざるを得なくなった。
しかし、授賞式ではトロフィーの他に、主催者側が伊藤仁美に古琴を贈る予定だった。そこで担当者は山田透に尋ねた。「山田さん、あなたは事前にチャリティーオークションと連絡を取って、その古琴を佳樹さんのために確保されていたのですか?」
山田透は心臓が震え、罪悪感から頭を垂れた。プラネットミュージックフェスティバルの授賞者として、物を買うのに予約が必要だろうか?彼が欲しいと言えば、相手は喜んで持ってくるはずだった。彼は確かにその琴を予約していなかった。まさかこんなに早く誰かがその琴を落札するとは思わなかったし、その女性が琴を手放そうとしないとは。
考えれば考えるほど腹が立ち、山田透は咳払いをして、平然と答えた。「その通りです!」
「チャリティーオークションの担当者によると、既に誰かがその琴を落札したそうです。今となっては佳樹さんの気に入るプレゼントが見つからないのですが、どうしたらいいでしょうか?」
山田透は慌てた様子を見せたが、すぐに平静を装った。「大丈夫です。私は既にこのことを佳樹さんに伝えました。彼女は、琴を落札した人は友人だから気にしないと言っていました。」
担当者は顔を曇らせた。「佳樹さんの友人なら、なぜ彼女の気に入った古琴を奪うようなことをするのでしょうか?」
この時、ネットユーザーたちも古琴の件を知ることとなった。佐藤洋美が東京に到着し、インタビューで佳樹さんに古琴を贈ると明言したからだ。その琴は彼女が長年気に入っていたもので、プラネットミュージックはすでにオークション担当者と連絡を取り、速やかに琴を佳樹さんに届けることを約束していた。
通常の授賞式の流れであり、例年のプラネットミュージックフェスティバルの授賞式はスムーズに進行していたのに、今回は盗作疑惑が浮上し、さらに古琴まで奪われてしまった。