第897章 最適任者

鈴木琴美は元々高倉海鈴のことが気に入らなかったが、昨日の不倫事件に加えて、今日の夏目小夜子の入社で、藤原社長がもう彼女のことを好きではないことは明らかだった。いつ見捨てられてもおかしくない状況だった。

しかも鈴木琴美は既に夏目小夜子という大木に縋り付いていたため、お茶を飲んで花を愛でるだけの無能な高倉海鈴をますます軽蔑するようになっていた。

「藤原奥様、最高経営責任者のポジションは藤原社長が友人のために空けていたことはご存知でしょう。その方は嵐エンターテインメントの会長の友人なのです。もしあなたがその席を奪えば、藤原社長の顔に泥を塗ることになりますよ」

「両社が合併した後、最高経営責任者は全ての業務を管理することになります。この地位は会社の将来の発展に関わる重要なポストですから、適当な人物に任せるわけにはいきません。藤原社長がいらしても、あなたの好き勝手にはさせないでしょう。まして本当の最高経営責任者が既に着任しているのに、あなたは藤原奥様という立場を利用して追い出そうとでもするのですか?」