「嵐エンターテインメントは確かに母が私に残してくれた財産です。でも、夏目さまと祖母は何十年も前に離婚して、その時に財産分与も済ませています。それ以来、母は夏目家に戻ることはなく、ずっと祖母と暮らしてきました。母は祖母からもらったお金で嵐エンターテインメントを設立し、今では私に残してくれました。情理から言っても、会社は夏目家とは何の関係もありません。私も嵐エンターテインメントをあなたに分けてあげたいのですが、天国の母はきっと同意しないでしょう」
「あなたと祖母が離婚してから、もう母とは付き合いがなくなり、母が亡くなるまであなたに会うことはありませんでした。母は心に恨みを持っていたのです。だから、嵐エンターテインメントの株式をあなたに譲渡することは、母の意思に反することになります。そして今や両社は合併しており、この株式には藤原徹の分も含まれているので、私には決める権限がありません」
高倉海鈴は悲しみに満ちた声で、諦めのため息をつきました。「私は一度もあなたにお会いしたことがありませんでした。まさか初めての対面がこのような形になるとは思いもしませんでした」
彼女の声はますます詰まってきました。「あなたは私が高倉家に捨てられ、一人で放浪していたことを嫌って、夏目家の人として認めず、外祖父と呼ばせてくれませんでした。それは理解できます。でも…」
このとき、藤原財閥の従業員たちはついに我慢できなくなり、義憤に駆られて言いました。「藤原奥様が一人で放浪していた時、夏目家は彼女を嫌って、家に帰らせず、外祖父と呼ばせることも許しませんでした。今になって彼女が社長と結婚し、嵐エンタメの会長になったと知って、道徳的な圧力をかけに来るなんて、恥を知りなさい!」
受付の美人も冷ややかに鼻を鳴らしました。「藤原奥様がお金と権力を持っているから、彼女から利益を得ようとしているだけでしょう。奥様が幼い頃に苦労していた時、あなたたちはどこにいたんですか?今になって人が成功したのを見て、会社に来て芝居を打つなんて、よくもできますね」
「あの佳業株式会社の人たちもおかしいわ。是非もわきまえずにあの女の味方をするなんて、ただ彼女の容姿に目がくらんで、一時の色欲に駆られただけでしょう」