第1004章 恋愛音痴な藤原明

館の名前は上品だが、ここは最も豪華な遊興施設であり、様々な娯楽施設を備え、さらに国内最大の競売場もある。ここには何でもあり、想像できないものはなく、できないことは何もない。しかし、館の主人は非常に神秘的で、ほとんど誰も会ったことがない。そして医師会の本部は、この神秘的なブルードリーム館の地下にある。

高倉海鈴は車から降りると、豪華な大広間を足早に通り過ぎた。見覚えのある人々を見かけたが、彼女は気にも留めなかった。東京の金持ちの息子たちはほとんどがブルードリーム館に来たことがあったが、彼女はここで藤原明に会うとは思っていなかった。

彼女が近づいてみると、呆然とした藤原明と、その隣で困惑した表情を浮かべる木村香織の姿が見えた。その時、木村香織は興奮した様子で言っていた。「ほら、こんなに美女がいるのよ。好きな子を選んで、一緒にお酒を飲めばいいじゃない!」

木村香織が手を振ると、露出の多い服装の女性が酒瓶を持って近づいてきた。彼女は自然な流れで藤原明の隣に座り、妖艶な体を藤原明に寄せかけた。

しかし藤原明は困惑した目で彼女を見つめ、純粋に尋ねた。「瓶の蓋を開けるのを手伝いましょうか?女性って本当に役立たずですね!瓶の蓋一つ開けられないなんて!」

木村香織:「……」鈍感すぎる!

その女性の顔から笑みが凍りついた。こんなに空気が読めない金持ちの息子は初めてで、一瞬どう返事をすればいいのか分からなくなった。

高倉海鈴には理解できなかった。藤原明がなぜ木村香織とここにいるのか、そして二人の会話は本当に理解しがたかった。

木村香織は驚いた表情で言った。「藤原明!あなた本当に男なの?こんな美人が目の前にいるのに、瓶の蓋のことしか考えてないの?スタイルのいい子が好きだって言ってたじゃない?このお姉さんのスタイルは万に一人よ!これ以上何を求めるの?」

藤原明は苦笑いしながら答えた。「これがあなたの言う美女だってどうして分かるんですか!さっきも教えてくれなかったじゃないですか!」

高倉海鈴は木村香織と藤原明の間を視線で行き来させた。つまり木村香織が藤原明をブルードリーム館に連れてきたのは、藤原明に女性との接し方を学ばせるためだったのか?