そうして善意で茶葉入りの蟹殻黄焼き餅を届けに来た陳二狗は裏切られ、呆然として涙も出ない陳二狗には、悲壮で寂しい戦死という唯一の結末しかないようだった。
そして「くそったれ」と一言叫んだだけで、陳二狗は微笑みは魅惑的だが天雷に劣らぬ殺傷力を持つ曹蒹葭に耳を引っ張られて連れ出された。
王虎剩は汗を一拭いし、隅に投げ捨てられた蟹殻黄焼き餅を拾い上げ、美味しそうに食べながら、心残りに小声で呟いた。「二狗よ、どうせ夫婦喧嘩は愛情の証、枕元で喧嘩しても足元で仲直り、今回だけは犠牲になってくれ。」
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この建物で王虎剩の部屋が一番だらしないなら、陳慶之の部屋が一番質素だった。ベッド一つ、衣類を入れる箱一つ、椅子一つ、それ以外には何の雑多な物もなかった。曹蒹葭は以前何気なく陳慶之を評して、内面が充実しきった境地の男だと言った。陳二狗はそれに深く同意し、むしろ中身の空っぽな奴ほど必死に部屋に物を詰め込もうとする。自分のように、二十四史や『道蔵』まで部屋に運び込みたがるのだと。