第56章 決断。殺伐

郭割虜が亡くなる前日のこと。

石青峰プライベートクラブで表向きは卑屈で媚びへつらい、裏では冷静に計算する王儲は住まいを出て、ガレージにある愛車のグランドチェロキーを使わず、タクシーに乗り込んで南京城内をぐるりと回った後、運転手に人里離れた場所を告げた。もし運転手が別荘地から出てきた派手な服装の王儲を金のない強盗とは思わなかったら、この頭がおかしいと思われる乗客の言う通りに車を走らせる勇気はなかっただろう。

夜8時半頃、王儲は料金を払って下車し、タバコを吸いながら30分ほど歩き、ちょうど9時きっかりに目的地に到着した。若い男がすでに道路の欄干に腰掛け、南京の夜景を眺めていた。王儲は近づいていくが、少し落ち着かない様子だった。噂によれば、喬六はここで陳浮生に10数人の刀匪を倒された後、一発の銃弾で殺されたという。その夜の凄惨な出来事は誇張されて広まり、魏家の陳浮生の名声は郭割虜をも凌ぐ勢いだった。結局のところ、郭割虜は一晩で喬八指一人を殺しただけだが、外部の人間にとっては一人で十人を相手にするという話の方が、はるかに痛快で驚くべき物語に聞こえるのだ。