第86章 それぞれの神通を見せる(6000)_4

「ルールが互いに衝突するとき、双方とも正しい理由があるとき、力の強い方が正義だ。それを覚えておけ。それと……」

彫刻のように端正な顔に真剣な表情を浮かべ、彼は諭すように言った：

「引いた弓に戻り矢なし。一度敵を作ったら、どんな手を使ってでも殺せ。たとえ長老が止めに入っても、長老の頭を叩き潰せ」

傅青陽は外へ向かって歩き出した。その足取りは緩やかながらも確かで、部屋の中の人々に凛とした背中を見せながら：

「人を捕まえに行くぞ」

..........

奉華區治安署。

治安署西棟の明るいオフィスで、応接用のソファに座った夏侯天元は、左手で二つの胡桃を転がしながら、右手で湯飲みを持ち、一口啜った。

「いい手触りだな、随分長く使ってるんだろう」

「天元坊ちゃんがお気に入りなら、差し上げますよ」

龐執事は微笑みながら言った。彼は革のコートを着て、その下には白い柔道着を着ていた。

彼は体格が良く、四角い顔立ちで、笑っていない時は非常に厳しく鋭い印象を与えた。

「いや、人の好みそうなものは奪わないさ！」夏侯天元は胡桃と湯飲みを置き、スーツの襟を整えながら言った：

「二つ頼みがある。謝家から探り出したところによると、あの一族が滅びた後、生き残った族人たちは各地に散らばり、止殺宮主はその時に松海に送られたそうだ。

「当時彼女はまだ子供で、非霊境の者だった。霊境歩行者になれるかどうかも分からない状態だったから、戸籍登録の際に身元情報の秘匿にそれほど注意は払われなかったはずだ。松海の戸籍データベースを調べてもらいたい。

「現時点で分かっているのは、年齢が24歳から27歳の間ということと、家族の長老に尋ねて、当時の一族の中心メンバーの容貌を模写してもらったから、顔認識で探してみてくれないか」

「それは難しいですね」龐執事は首を振り、この話は無理だと思った。松海の常住人口は二千万以上で、地元戸籍を持つ者が千万以上いる。

「もちろん難しいさ、だから時間はたっぷりある」夏侯天元は微笑んで言った：「この件が成功しようと失敗しようと、夏侯家の宝庫から聖者段階の道具を一つ選んでもらって構わない」

龐執事は笑顔を見せた：「承知しました」

夏侯天元は続けて言った：

「二つ目は、康陽區の元始天尊の情報を調べてくれ。現実での身元を突き止めたい」

龐執事は眉をひそめて言った：「復讐するつもりですか？」

夏侯天元は湯飲みを持ち上げて一口飲み、冷ややかな表情で：「奴が敵対してくるなら、敵だ。敵を倒すためなら、どんな手段も使える」

彼には認めたくない事実があった。あの若造は強い、嫉妬を覚えるほど、警戒せざるを得ないほど強かった。

龐執事は数秒考えてから、重々しく言った：

「それなら、きれいにやった方がいい。バレたら、私にも庇いようがありません。元始天尊の身元情報は私では調べられません。長老級の権限が必要です。

「二つアドバイスを。彼の上司を脅して聞き出すこと。李東澤は必ず元始天尊の身元情報を知っているはずです。ただし、そうなれば李東澤は殺さねばなりません」

「それじゃあ、俺があいつを殺そうとしていることを皆に告げるようなものだ」夏侯天元はこの提案を即座に却下し、尋ねた：「二つ目は？」

龐執事は言った：「半月ほど前、元始天尊は松海大學で惑わしの妖を殺しました。その惑わしの妖は追跡から逃れたばかりで、誰も見つけられなかった。

「元始天尊はおそらく松海で偶然出会ったのでしょう」

夏侯天元の目が輝いた：「年も若いし、つまり、松海大學の学生かもしれないということか？」

龐執事は湯飲みを持ちながら、飲みつつ言った：「それは自分で確かめるしかありませんね」

二人は顔を見合わせて笑った。

その時、龐執事は眉をひそめ、オフィスの入り口を見た。

数秒後、慌ただしい足音が聞こえ、一人の公認の行者がドアを開けて入ってきた。表情は良くなく、急いで言った：

「龐執事、康陽區の傅執事が部隊を率いて押し入ってきました」

......

PS：一冊の本を紹介します：『大夏文聖』、儒道系、本に飢えている方は覗いてみてください。