第111章 道具を選ぶ
午前10時、張元清はタクシーに乗って傅家灣に到着し、白カードとブラックカードで順番にセキュリティゲートを開け、別荘に入った。バニーガールたちが深々とお辞儀をする中、茶色の両開きの大きな扉の前で立ち止まった。
傅青陽は本当に贅沢な暮らしをしているな。あんなにたくさんのバニーガールが世話をしているなんて。私も霊境歩行者の大能力者になったら、バニーガールたちを雇って、お茶を入れたり、洗濯をしたり、背中をマッサージしたりしてもらおう......張元清はそう考えながら、書斎のドアをノックした。
木のドアを叩いた瞬間、自分の考えがどこか間違っているような気がしたが、それが何なのかはすぐには分からなかった。
「コンコン～」
ノックの音が二回鳴り、そして彼は茶色の両開きのドアを開けた。
相手の返事を待たなかったのは、傅さまの書斎が広すぎて、防音効果も良すぎるため、中の声が外に聞こえないからだった。
傅青陽が喉が潰れるほど叫んでも、誰も会いに来ないだろう。
書斎では、傅青陽が机の後ろに座り、指を組んで机の上に置いていた。応接用の木製ソファには、靈鈞が胡座をかいて、真剣にお茶を淹れていた。
張元清は長い赤絨毯を歩き、机の前で立ち止まった。
「体の具合は大丈夫か」傅青陽は頷きながら、部下を気遣って尋ねた。
近くにいた靈鈞は、目を細めて笑いながら言った。「夜の巡視神は不死身のゴキブリだからな、何の問題もないさ。元始よ、お茶を飲みに来なさい」
張元清は彼を一瞥して言った。「ヒャクブチョウ、この男がまだここに居座っているんですか？」
靈鈞が松海に来たのは傅青陽の黒無常捜索を手伝うためだったが、結局ただの役立たずで、何の成果も上げていない。
毎日お茶を飲んでサボり、外出しては松海の優秀な女の子たちと人生や理想を語り合っている。
傅青陽は軽く頷いて言った。「確かに追い出すべきだな。私のところで無能は養わない」
靈鈞は舌打ちして言った。「青陽よ、これは新しい者に目が移って古い友を忘れたということか。我々の長年の友情は、この小僧が数日おべっかを使うのにも及ばないというのか？」
傅青陽は何も言わなかった。彼は冗談を言ったり、口先だけの人間ではない。
しかし張元清はそうだった。張元清は怒って言った：
「あなたの言い方は本当に不愉快です。私を貶すのは構いませんが、どうしてヒャクブチョウまで貶めるんですか。ヒャクブチョウはそんな追従を好む人ではありません。そして私もヒャクブチョウに追従したことなど一度もありません。私が今まで言ってきたことは全て心からの言葉です。
「それに、話すときは目を開けてくれませんか」
靈鈞はため息をつき、目を細めて首を振った。「お前の厚かましさには感服するよ」
傅青陽は適切なタイミングで二人の無意味な会話を遮り、真面目な表情で言った：
「長老たちが協議の結果、お前にA級功勲を与え、賞金二百万円と二つの道具を褒賞とすることに決めた。何か意見はあるか？もし意見があれば、私から上に伝えておく。
「もし意見がないなら、これで決定とし、本部がウェブサイトで公告を出す。これはA級功勲特有の待遇だ」
A級功勲？張元清は少し驚いた。
五行同盟の制度では、A級功勲に付随する価値は非常に大きい。権限が上がり、待遇が良くなるだけでなく、彼の「出世」への道が開かれることを意味している。
今後はレベルさえ追いつけば、班長や執事の地位も問題ない。
代理班長の藤遠は、レベル4の聖者であるにもかかわらず、功勲が足りないため、今でもエリートメンバーの待遇のままだ。
真眼班長が自宅で療養中でなければ、班長代理にすらなれなかっただろう。
賞金二百万円か、そうすると今の私の資産は250万円か、なんだか縁起が悪い気がするな.......道具の褒賞は赤い舞靴と沈着者の寶珠の穴を埋めるのにちょうどいいな.......張元清は言った：
「異議ありません！」
傅青陽はすぐに机の隅にあるボタンを押した。数分後、腰が細く脚の長い10人のバニーガールが、両手で銀のトレイを持って次々と入ってきた。
彼女たちは書斎で一列に並び、トレイを持ったまま、姿勢を正して立っていた。
傅青陽は机から立ち上がり、優雅で落ち着いた足取りで歩き、最初の銀のトレイに掛けられた赤い布を取った。トレイの上には翡翠の緑色の円形の石があり、蔓のような模様が彫られていた。
「この道具は『復活者』と呼ばれ、木霊使いの職業用の道具だ。その機能は、持ち主が瀕死の状態になった時、最良の状態に回復させることができる。使用方法は簡単で、身につけているだけでいい。ただし、一瞬で殺された場合は、その機能は発動しない」と傅青陽は説明した。
瀕死時に状態が全回復？これは切り札級の道具だな。他人より一つ命が多いということか。木霊使いは流石に回復術士だ........張元清は目を輝かせて尋ねた。「では、その代価は何ですか？」
傅青陽の冷たい表情に微笑みが浮かんだ：
「その代価も『復活』と呼ばれる。使用者に強い繁殖欲求を与えるんだ。支部の多くの公認の行者たちは、ある機能が衰えたため、これを借りることを申請している。彼らは男としての喜びを取り戻したようだ」
張元清は再び感心した：木霊使いは流石に回復術士だ！
ある意味では、この種の代価は男にとって夢のようなものだが、これは『かかし』の代価と化学反応を起こして、豚に対する幻想を実行に移してしまうかもしれない.......張元清は数秒考えてから、首を振って言った。「他のも見てみたいです」
傅青陽は続いて二番目のトレイの赤い布を取った。そこには濃い色の蔓で作られた指輪があった。
「森のささやき、これは人と木々や動物とコミュニケーションを取ることができる。あなたは彼らの意味を理解でき、彼らもあなたの指示を理解できる。強力な攻撃力はないが、ある分野では、攻撃的な道具よりも実用的だ。例えば追跡などにね。
「使用の代価は、極端な動植物保護主義者になることだ」
張元清の脳裏に一つの場面が浮かんだ：顔のぼやけた男が、雌豚を優しく撫でながら尋ねている：気持ちいい？