電話を切った後、雨宮由衣はその投稿を開いて確認してみると、やはり予想通り、蘇我隼樹が直接出て来てヒーロー然として助けていた。
沢田夢子は助かったものの、江川麗子は皆の笑い者になってしまった。今や学校中が、彼女が男を想い慕って失敗し、親友とまで喧嘩して嫉妬し合ったことを知ることとなった……
ふん、好きな人のためとはよく言うものだ。両家で決めた婚約まで完全に無かったことにしようとするなんて。
すぐにドアをノックする音が聞こえた。
「はい!」雨宮由衣は立ち上がり、ドアを開けに行った。
「雨宮さ……」ドアを開けた人を見て、江川麗子は突然言葉を失った。
「入って」
その馴染みのある声を聞いて、江川麗子はさらに信じられない表情を浮かべた。「あ、あなた...本当に雨宮由衣?」
確か雨宮由衣は一人暮らしで、この寮には彼女以外誰もいないはずだった。
でも...でも目の前にいるのは、学校一の美人である藤原雪よりも美しい少女。どうしてこんな人が、あのブス雨宮由衣のはずがない?
噂では、雨宮由衣は化粧をする前は太っていて醜かったが、痩せた後も醜いままだったという。
彼女を含む全ての人が、雨宮由衣があんなに濃い化粧をしているのは、コンプレックスで醜い容姿を隠すため、あるいは自暴自棄になっているからだと思っていた。
清風は帝都最高の名門校で、学風は厳格だが、校風は比較的開放的で、海外を参考に個性と多様性を重んじ、生徒の服装や化粧を制限していない。しかし、みんな必死に自分を磨いて家柄の良さを見せようとする中、雨宮由衣のように自分を醜く見せる者は彼女だけだった。
雨宮由衣は江川麗子を部屋に案内し、水を一杯注いで「どうぞ座って」と言った。
どうせ同盟を組んだのだし、江川麗子も女の子なので、こんな夜更けにわざわざ化粧し直す手間は省いた。
「本当に雨宮由衣なの?」江川麗子はまだ夢を見ているような気分だった。
「本来の姿に戻って身分証明する必要がある?」雨宮由衣は傍らの緑色のウィッグを手に取った。
「い、いいえ...結構です...」江川麗子は慌てて手を振った。「でも...普段どうしてあんな風に装っているの?」
雨宮由衣は眉を上げた。「私の普段の姿がどうかしたの?良くない?」
「……」雨宮由衣の美的センスについて、江川麗子は何も言えなくなった。