第219章 振られた気分

無事に二時間の特別時間を得た雨宮由衣は、満足して自室に戻り、問題演習を続けた。

時が流れるように過ぎ、雨宮由衣は知識の海に夢中になっているうちに、気がつけば夜更けになっていた。

うん、学費を払う時間だ……

さっき「取引成立」と言った時は意気揚々としていたが、いざこの時になると少し怖気づいてしまう。

特に今回、庄司輝弥が自分は普通の男だと言ったことが気になって……

もたもたとお風呂を済ませても、庄司輝弥からは催促の連絡もなく、雨宮由衣は焦りながらも彼を探しに行くのは嫌で、結局電話をかけることにした。

その時、書斎では。

井上和馬が定例の業務報告をしていた。

しばらくして、黒川尊も入ってきた。「九様、お呼びでしょうか!」

まだ九様の就寝時間ではないはずなのに、なぜこんなに早く呼ばれたのだろう?

庄司輝弥は目を上げ、向かいの黒川尊に言った。「今日から、しばらく来なくていい」

黒川尊は一瞬固まった。「えっ、来なくていい?でも九様のご病気は……」

横で書類を抱えていた井上和馬も驚きの表情を浮かべた。

主人の最近の状態は決して良くないのに、なぜ突然黒川尊に来なくていいと?

「主人はより適切な医師を見つけられたのでしょうか?」井上和馬が尋ねた。

黒川尊は眉をひそめた。自慢ではないが、催眠術に関しては、自分が一番だと自負している。より良い医師など見つかるはずがない。

その時、庄司輝弥の携帯電話が鳴った。

二人は、画面に表示された雨宮由衣の名前を目にした。

雨宮由衣は家にいるのになぜ電話をかけてくるのだろう?

不思議に思っていると、電話の向こうから雨宮由衣の声が聞こえてきた——

「あの……那個……庄司輝弥、聞きたいんだけど……いつ寝るの?私がそっちに行く?それともあなたがこっちに来る?」

書斎が極めて静かだったため、雨宮由衣の言葉はかなりはっきりと聞こえ、二人は聞いた後で一瞬固まった。

「用事を済ませたら行く」

庄司輝弥は電話を切り、すぐに黒川尊に向かって続けた。「給料は今まで通り支払う。必要になったら井上和馬から連絡させる」

そう言って二人に退出を命じた。

黒川尊は書斎を出てもなお状況が飲み込めない様子で、「これはどういう状況なんだ?」