第249章 アイドルの意味

雨宮由衣は三上真之介のSNSを一晩中見ていたが、翌朝、江川麗子からの電話で目が覚めた。

電話を切ってから30分後、雨宮由衣は裁判所の入り口に到着した。

おしゃれな服装の若い男女が集まっており、多くの人々がプラカードを掲げていた。プラカードには「橋本羽は冤罪だ」「橋本羽は無罪」「デマを流すな」などの文字が書かれていた。

その他にも、大勢のメディアや記者が裁判所の外で待機していた。

前世では、橋本羽の児童への性的虐待事件は社会に極めて悪質な影響を及ぼし、その詳細な経緯を雨宮由衣は今でも覚えている。

被害者の両親は今日、橋本羽を裁判所に訴えるはずだ。

「由衣姉、来てたんだ」カジュアルな服装の風間川治が、群衆の中から出てきて雨宮由衣の前に立った。

「うん」雨宮由衣は頷いた。「さっき麗子から電話があって」

江川麗子は橋本羽の熱心なファンで、被害者の両親が橋本羽を訴えたというニュースをいち早く知り、風間川治と雨宮由衣を呼び出したのだ。

「由衣...」江川麗子は雨宮由衣を見るなり、涙目になりながら「あの所謂証拠なんて、法律の常識がちょっとでもある人なら成立しないってわかるはず。なのにどうして皆、羽が有罪だって断言するの?裁判所に来たんだから、証拠で話すべきじゃないの?」

「あの両親は金のためなら何でもするし、もっとひどいのは煽り立てるマスコミだよ!」風間川治は怒りを露わにした。

「本日、三上夫妻が人気芸能人の橋本羽を提訴するため裁判所に来ました。裁判所は既に本件を受理しており、本紙は引き続き報道を続けて参ります...」

スーツ姿の女性記者がカメラの前で話し始めた。

近所の住民も裁判所の入り口に集まり、あれこれと噂話をしていた。

「最近の芸能人って本当に腐ってるわね。子供まで手を出すなんて!」

「そうよね。あの橋本羽って、自宅の別荘を遊園地にしたり、毎日慈善活動したりしてたけど、結局こんな変態行為のためだったなんて、本当に人でなしよ!」

「ああ、三上夫妻と女の子が可哀想...。どうしてあんな畜生に目をつけられたのかしら。この子供に一生残る傷になるわ!」

「被害者はあの女の子だけじゃないはずよ。三上夫妻がこの件を暴露しなかったら、もっと多くの人が被害に遭ってたかもしれないわ!」