第321章 見飽きたか?

数日後。

大学入試の合格発表が次々と公表され、雨宮由衣は帝都メディア大学に合格した。同時に、おじいさんの誕生日会の日も近づいていた。

仕事が終わる前に、由衣は庄司輝弥にメッセージを送った。「ベイビー、今夜はおじいさんの誕生日会だから、お祝いに行かなきゃいけないの。一緒に食事できなくてごめんね。チュッ!」

この数日間、彼女は等々力辰の『ビックリドラゴン2』のオーディションの準備で忙しく、プレゼントさえまだ選べていなかった。寮に戻って急いで化粧をし直し、ドレスに着替えて、そのまま骨董市場へ向かった。

賞金はそれほど多くなく、高価なプレゼントは買えないので、心のこもったものを探すしかなかった。

骨董通りには大小さまざまな店が立ち並び、古めかしい雰囲気が漂っていた。まるで別の時代にタイムスリップしたかのようだった。

雨宮由衣は周囲を見渡し、整った眉をひそめながら、数十メートル先を鋭い目つきで見つめた。

そこには、だらしない身なりの若い男が、ボロボロのジーンズ姿で骨董市場の露店の前にしゃがみ込んでいた。時折、由衣の方をじろじろ見ており、その視線は露骨で、まったく隠す様子もなかった。

時間を節約するため、由衣はドレス姿のまま来ていたので、道中で多くの視線を集めていた。しかし、この若者の視線は他とは少し違っていた。

他の男性が異性を見る時のような視線ではなく...観察と探るような視線...まるで彼女のことを知っているかのような...

若者は怠惰そうな様子で、由衣と目が合うと、口角が少し上がった。

由衣は前に進み、若者をしばらく見つめ、腕を組んで試すように言った。「見飽きた?」

若者は突然笑って言った。「どこかで見たことがあるような気がするんだけど」

その言葉を聞いて、由衣は思わず笑ってしまった。このナンパの手法は古すぎるんじゃない?

「お嬢さん、今日はまだ一件も売れてないんだ。生活がかかってるから、見ていってよ!」若者は自分の露店の商品を指差しながら、セールストークを始めた。

この人を知らないと確信すると、由衣はもう時間を無駄にせずに立ち去ろうとした。

「おいおい、行かないでよ。俺の商品は普通じゃないんだ。買わなくても見ていってよ!」由衣が立ち去ろうとするのを見て、若者は大声で叫んだ。

由衣は振り返り、若者の露店をしばらく見つめた。