第331章 絶世の美貌

「はぁ……」北条敏江はわざとほっとしたため息をついた。「他人の娘がみんなあなたのように分別があればいいのに……でも、ある人は自分の娘を宝物のように扱って、少しの自覚もないのよね」

二宮美菜は、この母娘の皮肉な言葉に息が荒くなるほど腹が立った。

「お姉さん、あなたたちが大変なのは分かっています。でも、私たち家族も同じように大変なんです。家秀が会社を経営するのは簡単じゃありません。あのお金は全て命を削って稼いだ汗水流した金なんです。私たちだって大金持ちじゃないんです。働かない人を養う余裕なんてありませんよ!」北条敏江は冷たく言い放った。

周りの大勢の来客たちの視線が、この場所に集まった。

雨宮昇二が近年落ちぶれたことは知っていたが、まさかこの一家がこれほど厚かましく、他人の家を自分の家のようにし、数年も居座り続け、感謝するどころか、出て行く気配すら見せないとは思わなかった。

雨宮望美はこの場の争いを見ながら、目の奥に笑みを浮かべつつ、表面上は穏やかな表情を保ち、ゆっくりと口を開いて、不機嫌そうな北条敏江と困惑した様子の二宮家秀を見上げて言った:

「叔父さんと叔母さんにまずお詫びさせていただきます。由衣の分も謝らせていただきます……今日はおじいさまのお誕生日です。和やかな雰囲気を大切にしましょう。あまり怒らないでください。おじいさまが知ったら、また不機嫌になってしまいます」

雨宮望美の言葉を聞いて、北条敏江の表情は少し和らいだ。雨宮弘の誕生日会であることを考慮して、あまり騒ぎ立てることはできないと思い、首を振った。「望美、私たち家族も大変なのよ。この数年間、この一家に散々振り回されてきたわ。こんな厚かましい人たちがいるかしら。自分の家がなくなったからって、他人の家に居座り続けて出て行こうともしない。自分たちの暮らしが良くないだけでも迷惑なのに、他人まで巻き込むなんて」

雨宮望美は心の中で密かに笑いながら、目の端で雨宮昇平一家を見やった。しかし表情は相変わらず優雅で上品なままだった。雨宮望美が何か言おうとした時、後ろから驚きの声が上がった。

その声に、皆が左側を見やった。

一筋の炎のような姿が、突然人々の視界に飛び込んできた。