第396章 檻

雨宮由衣を送り出した後、残りの者たちもすぐに態勢を整え、一斉に庄司輝弥を護衛して出発した。

影流の表情は死んだように冷たかった。

ホテルを出たところで何になる?

この町全体が今や奴らの手中にあり、どこへ行っても袋の鼠だ。

彼らは出られず、救援も入れない。

たとえ救援が攻め込んでも、手遅れだ。遠くの水では近くの火は消せない。

町全体は表面上は平穏に見えるが、実際には巨大な死の檻と化しており、その檻は徐々に締まり、彼らを全員この場所で絞め殺すまで緩むことはない。

そんな時に主が重病とは、最後の心の支えまでも崩れ落ちた。

庄司輝弥の状態は楽観できず、道中で高熱を出してしまった。

任務遂行以来、影流はこれほどまでに絶望を感じたことはなかった。

車内で、影流は氷のような表情で、黙々と武器を何度も点検し拭いていた。瞳の奥に冷たい光を宿し、最悪の事態に備えていた。