雨宮由衣を送り出した後、残りの者たちもすぐに態勢を整え、一斉に庄司輝弥を護衛して出発した。
影流の表情は死んだように冷たかった。
ホテルを出たところで何になる?
この町全体が今や奴らの手中にあり、どこへ行っても袋の鼠だ。
彼らは出られず、救援も入れない。
たとえ救援が攻め込んでも、手遅れだ。遠くの水では近くの火は消せない。
町全体は表面上は平穏に見えるが、実際には巨大な死の檻と化しており、その檻は徐々に締まり、彼らを全員この場所で絞め殺すまで緩むことはない。
そんな時に主が重病とは、最後の心の支えまでも崩れ落ちた。
庄司輝弥の状態は楽観できず、道中で高熱を出してしまった。
任務遂行以来、影流はこれほどまでに絶望を感じたことはなかった。
車内で、影流は氷のような表情で、黙々と武器を何度も点検し拭いていた。瞳の奥に冷たい光を宿し、最悪の事態に備えていた。
他の者たちも同様で、車列全体が暗い影に覆われていた。
井上和馬は後部座席の庄司輝弥を見つめ、焦りの色を隠せない様子で低い声で尋ねた。「影流、B国からの返事は?」
影流は「ない」と答えた。
B国への救援要請は石を水に投げ入れたかのように音沙汰なしだった。
影流は空に広がる暗雲を見つめ、冷たい表情で言った。「これは完全に計画的で、周到に準備された殺戮だ!」
井上和馬は拳を強く握りしめ、「一体誰なんだ?これほどの権力を動かせるだけでなく、殺人同盟まで操れるとは!」
影流は冷笑して言った。「誰であろうと関係ない。主の命を狙う者が少ないとでも?」
今はそんなことは重要ではない。
殺人同盟でなければ、まだ一縷の望みもあっただろう。
しかし殺人同盟となると話は別だ。裏社会の者なら誰でも知っている、殺人同盟が動けば必ず皆殺しにする。
相手の目的はこの装備だけだと思っていたが、今となっては……
明らかに彼らを抹殺しようとしているのだ。
井上和馬は何も言えず、しばらく黙り込んでいた。
しばらくして、疲れた様子で尋ねた。「結衣様の方は大丈夫でしょうか?」
影流は冷笑し、通信機を見て言った。「今頃はもう遠くへ逃げ出しているだろう」
相手の目的は庄司輝弥だ。小魚が一匹や二匹逃げたところで、追いかける手間はかけないだろう。
井上和馬はそれを聞いて、再び沈黙した。