雨宮由衣は入り口に立ち、しばらく躊躇した後、薬の効果が遅れることを心配して、ついにドアを押して入った。
雨宮由衣の後ろで、先ほどの二人の小間使いも心配そうに付いて行き、今はドアの隙間に隠れていた。
二人は考えに考えた末、雨宮由衣に薬を届けさせるのは適切ではないと感じた。結局これは彼女たちの仕事なのに、どうして雨宮様に任せられるだろうか?
もし雨宮様が薬を届ける時に何か問題が起きたり、何か事件が起こったりしたら、彼女たちはその責任を負えないではないか?
広い灰黒色のベッドの上で、蒼白い肌の男が石像のように動かずに寄りかかっていた。
窓から風が吹き込み、服の端がめくれ上がり、痩せこけた手首が露わになった。
たった一ヶ月余りの間に、彼は忙しさのために一回り痩せてしまった。