「お嬢様、あめ玉のお包みができましたが、他に何かご入り用でしょうか?」店員が尋ねた。
雨宮由衣はようやく我に返り、いちごのケーキとマンゴームースを追加した。
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております!」店員はお辞儀をして見送った。
雨宮由衣が買い物袋を持って店を出ると、誰かが後をつけてくるのがはっきりと分かった。
雨宮由衣が振り返ると、先ほど彼女の後ろに並んでいたマスク姿の男性だった。
彼女が振り返った瞬間、男性はクールを装って両手をポケットに入れ、道端に立ち、バスを待っているような素振りを見せた。
雨宮由衣が再び歩き出すと、今度は男性は後をつけてこなかった。
しかし、雨宮由衣は背中に向けられた熱い視線を感じずにはいられなかった……
仕方なく、雨宮由衣は二度目に思わず振り返った。