新津香織と橋本羽は状況を見て顔を見合わせた。
「どういうことだ?」
二人は周りの状況がまだ分からない人々と同様に、急いで携帯を開いて確認し、何が起きたのかを知ると、驚きの表情を浮かべた。
雨宮由衣は静かにそこに立ち、表情を変えなかった。
菊池美桜は狂ったように催促し続けた。「雨宮総監、早くこれらの情報を削除するよう指示してください...」
雨宮望美の顔は暗く沈んでいた。「もう遅いわ...」
このような事態の広がりは本当に速かった。先ほどまでは皆の注目が金蘭賞に集中していたが、授賞式が終わるや否や、菊池美桜の件が一気に爆発的に広がった。
案の定、各大手ポータルサイトやSNSを開くと、「菊池美桜乱交」「菊池美桜薬物使用」などのキーワードの注目度が急上昇していた。
さらに悪いことに、そのパーティーには菊池美桜だけでなく、帝星エンターテインメントの他のタレントも多数いた。今や世論は帝星エンターテインメント全体が売春と麻薬の巣窟だと疑問視する方向に変わりつつあった。
宴会場の人々も次々とこの大スキャンダルを知り、今では皆が菊池美桜の方向をひそひそ話しながら見ていた。
「ずっと新津香織の方が私生活が乱れているはずだと思っていたのに、まさか。新津香織は金蘭賞主演女優を獲得したのに、菊池美桜はプライベートでこんなことをしていたなんて!」
「何を驚いているの?芸能界なんて本来真実も嘘も見分けがつかないものよ。表面的なものを信じるなんて、あなた純粋すぎるわ!」
「菊池美桜が私生活で派手に遊んでいたって、前から噂はあったでしょ?帝星の上層部が彼女に厳重警告して、多額の金をかけて揉み消したから、これまで表沙汰にならなかっただけよ。自滅する人もいるってことね!」
「今回は完全にアウトね。帝星の金は全部水の泡、しかも他のタレントまで巻き込んじゃって!雨宮グループは上層部が交代してから、本当にどんどん乱れてきているわね...」
菊池美桜はその視線が針のように肌を刺すように感じ、今の芸能界での地位が一瞬にして崩壊することを考えると、顔中に恐怖の色を浮かべた。「黒田社長、雨宮総監、今回は絶対に助けてください!早く広報部にこれらを全部削除させてください!削除してください!」
「黙れ!」黒田悦男は冷たく怒鳴った。