「何者だ!」
熊さんは怒鳴り声を上げ、足元の大きな刀を抜き、突如現れた人影を睨みつけた。
その瞬間、彼は背筋が凍った!
その炎のように熱い剛気は、見るだけで恐れを感じさせた。
「許君河の馬鹿息子だ!」
一人の山賊が驚いて叫んだ。
他の者たちも皆、驚愕の色を隠せなかった。噂によると、許君河の馬鹿息子は、隠れた高人を探し回り、真の武道を学ぼうとしているという。
まさか、修行を終えたのか?
「やれ!」
熊さんは怒鳴りながら、身を躍らせ、許炎に向かって斬りかかった。
「殺せ!奴は一人だ!」
百人以上の山賊たち、最も弱い者でも江湖の二流、熊さんに至っては絶頂の高手に近い。
一流の高手も二十数人いた。
刀、槍、暗器など、次々と許炎に向かって襲いかかった。
「来い!」
許炎は興奮を抑えきれず、轟という音とともに、十丈の気血を放ち、真っ直ぐに突っ込んでいった。
十丈の気血剛気が横なぎに薙ぎ払い、許炎の一拳一脚には莫大な威力があり、山賊の群れは瞬く間に壊滅し、死傷者が続出した。
熊さんは一撃で粉砕された。
血肉が飛び散り、残りの山賊たちを恐怖に陥れた。
「逃げろ!」
これはどんな絶頂の高手なのか、あまりにも恐ろしい、近づくことすらできず、瞬時に殺されてしまう。
残りの山賊たちは肝を潰し、散り散りに逃げ出した!
「逃げようとは、そう簡単にはいかないぞ!」
許炎は冷笑し、追撃に転じた。
「師匠は目立たないようにと言ったが、全員殺せば、誰も私がやったとは分からない。これも目立たない方法だ!」
戦いに緊張感はなく、まさに圧倒的な勢いで、山賊の一味は全滅、一人も逃がさなかった。
黒風山を探し回ったが、自分たちの失った荷物は見つからなかった。
隠れている山賊もいなかった。
今、山の上に立ち、あちこちに散らばる手足の切断部を見ながら、許炎は眉間にしわを寄せた。
「確かに私は強い、でも力任せに使うだけで、まるで蛮力だけを使っているようだ。もし同じくらいの実力を持つ相手と出会えば、きっと敵わないだろう。
「私には武技がない、ただ力任せなだけだ。
「今度帰ったら、必ず師匠に教えを請おう!」
許炎はそう考えながら、夜の闇に紛れて急いで山を下り、東河郡城へと戻っていった。
……