第33章 私達を痴漢するつもり?

林逸は康曉波が去ったのを確認してから、福おじさんが車を停めている場所へ向かった。

案の定、福おじさんは車を動かさず、そこで静かに彼を待っていた。

林逸が車に乗り込んでから、福おじさんはようやくエンジンをかけた。

後部座席の楚夢瑤と陳雨舒は明らかに沈黙していた。トイレで林逸を見かけた出来事か、屋上での衝撃的な光景のせいか、とにかく二人とも口数が少なく、楚夢瑤も珍しく福おじさんに林逸の悪口を言わなかった。

「福おじさん、前の銀行で止めてください。私と舒ちゃんでカードを作りに行きます」

楚夢瑤は福おじさんに指示した。

林逸は楚夢瑤にそう言われて、学校が生徒全員に銀行カードを作るよう指示していたことを思い出した。今後の学費などを引き落とすためだという。

福おじさんは特に何も聞かず、頷いて近くの銀行の前に車を停めた。

ちょうど通勤時間帯で道路は混んでいた。特にこの銀行は24時間営業の唯一の支店だったため、用事のある人々が入口に車を停めており、交通は混雑していた。

林逸は楚夢瑤と陳雨舒と一緒に車を降りると、楚夢瑤は眉をひそめた。「なぜついて来るの?」

「忘れないでください、僕も学校の生徒ですから」

林逸は笑いながら言った。

楚夢瑤はそこで、林逸も今日から学校の一員になったことを思い出した。彼も当然銀行カードを作る必要があった。

もう何も言わず、陳雨舒の手を引いて一緒に銀行に入った。

林逸が銀行に足を踏み入れた瞬間、首にかけた玉の護符が突然反応し、彼の心を驚かせた。

この玉の護符は、以前西星山の麓の洞窟から持ち出したものだが、林逸は今でもこの護符が一体何の役に立つのか、あるいはどのように使うのかわかっていなかった。

しかし、大きな出来事が起こる前には必ずこの護符が微妙な反応を示し、まるで林逸に何かを伝えようとするかのようだった。

林逸は護符が何を示そうとしているのかわからなかったが、このような状況が発生すると、必ず何かが起こるのだった。

例えば北アフリカでの一件で、自分と保護対象者が敵に包囲されたとき、この護符の事前警告のおかげで何度も敵の襲撃を回避し、最終的に救助されることができた。