第33章 私達を痴漢するつもり?

林逸は康曉波が去ったのを確認してから、福おじさんが車を停めている場所へ向かった。

案の定、福おじさんは車を動かさず、そこで静かに彼を待っていた。

林逸が車に乗り込んでから、福おじさんはようやくエンジンをかけた。

後部座席の楚夢瑤と陳雨舒は明らかに沈黙していた。トイレで林逸を見かけた出来事か、屋上での衝撃的な光景のせいか、とにかく二人とも口数が少なく、楚夢瑤も珍しく福おじさんに林逸の悪口を言わなかった。

「福おじさん、前の銀行で止めてください。私と舒ちゃんでカードを作りに行きます」

楚夢瑤は福おじさんに指示した。

林逸は楚夢瑤にそう言われて、学校が生徒全員に銀行カードを作るよう指示していたことを思い出した。今後の学費などを引き落とすためだという。

福おじさんは特に何も聞かず、頷いて近くの銀行の前に車を停めた。