午後の最後の授業は自習で、鍾品亮は立ち上がって林逸の側に歩み寄り、机を二回指で叩いた。
「何の用だ?」
林逸は顔を上げ、冷淡に尋ねたが、その目には少し苛立ちが見えた。
康曉波も振り返り、林逸と鍾品亮を不思議そうに見つめた。二人がどうして敵対することになったのか分からなかった。
鍾品亮という人物は、林逸が手を出せる相手ではないはずだった。
「男なら、ついて来い」
鍾品亮は傲慢に言い放った。
「すまないが、暇はない。自習があるんだ」
林逸は頭を下げ、手にした数学の教科書を見続けた。
「もう怖気づいたのか?情けない奴め!」
鍾品亮は冷笑して言った。「今は逃げられても、いずれは追いつく。放課後を楽しみにしておけよ」
そう言い残すと、振り返りもせずに自分の席に戻っていった。
「なあ兄弟、どうしてあの大神様を怒らせたんだ?」
康曉波は小声で林逸に言った。「あいつは手を出してはいけない相手だぞ!何か誤解でもあったのか?」
林逸は苦笑した。何の誤解があるというのか!
何もないのに敵対するわけがない。全ては楚夢瑤のせいだ。
彼女がいなければ、昨日鍾品亮の尻を蹴ることもなかったはずだ。
しかし、これらのことは康曉波には言えなかった。
「大したことじゃない。今朝、張乃炮が足を出して俺を転ばせようとしたんだ。結果的に俺が彼の足を踏んでしまった。たぶんそれが原因だろう」
林逸は事の原因を今朝のことにすり替えた。
「えっ!」
康曉波は驚いて眉をひそめた。「張乃炮は執念深い奴だぞ!どうやら鍾品亮は仲間の代わりにお前に因縁をつけに来たようだな」
「構わないさ。好きにさせておけばいい。学校の中で、彼らに何ができるというんだ?」
林逸は肩をすくめて無関心を装った。林逸の目には、鍾品亮がどれほど横暴であろうと、所詮は学生に過ぎなかった。
銃弾が飛び交う戦場で生死を賭けた日々を思い返せば、鍾品亮のような敵は子供じみて見えた。
今日の体操の時も、林逸は鍾品亮を殴り倒すのではなく、からかうような方法で懲らしめただけだった。
もし林逸が本気で殴るつもりだったら、鍾品亮は今頃霊安室で横たわっていただろう。
「どうなんだ?」