第0123章 鍾家の父子

林逸は痛くはなかったものの、苦笑いを浮かべた。唐韻は自分のことを良く思っていないようだ!

朝はまだ純粋な恋を育もうと思っていたのに……こんなに早く夢が破れてしまった。

どうやら唐韻はもう無理そうだ。残るは陳雨舒一人だけど、それも難しそうだ……

「大將、どうして唐韻はあんなに怨みを持っているように見えるんだ?」

康曉波にはよく分からなかった。林逸と唐韻は以前知り合いではなかったのに、なぜ出会った時から唐韻は林逸に対して眉をひそめているのか?

「俺にも分かれば、問題は解決してるさ」

林逸は呆れながら説明した。

「そうだな。あっ?大將、もしかして唐韻は君のことが好きなんじゃないか?」

康曉波が突然言い出した。

「え?好き?どういうこと?」

林逸は驚いて康曉波を見つめた。

「学校の先輩の話なんだけど、クラスの女子委員が彼のことを好きで、いつも彼に文句を付けてたんだって。彼が授業をサボったりすると、その女子委員に説教されたらしい……」

康曉波は言った。「唐韻もそうじゃないかな?」

林逸は白目を向けた。物事は事実に基づいて判断しないと。

「その話は可能性があるかもしれないけど、唐韻は俺と知り合って二日半だぞ。そんな短期間で好きになるわけないだろ?」

林逸は首を振った。そう考えるなら、お嬢様も毎日俺のことを目の敵にしているけど、それも好きってことになるのか?

「それもそうだな……」

康曉波は干笑いをしながら、林逸と一緒に学校へ向かった。

学校の門に近づいた時、康曉波は前方を指さして言った。「大將、見てよ、楚夢瑤と陳雨舒だ……」

「ああ……」

林逸は視界の端で楚夢瑤と陳雨舒のことを気にしていたので、驚きはしなかった。

「おや?大將、彼女たちが乗ってる車、さっきの君の車と同じみたいだぞ!」

康曉波の観察力は相当なものだった。

「そう?そんなに似てないと思うけど?」

林逸は誤魔化して「行こう、彼女たちのことは気にするな」と言った。

「そうだな、俺たちとは縁遠い存在だ。現実的じゃない」

康曉波は深いため息をついた。「あんな金持ちの高慢ちきな感じ、よく分かるよ……」