第0265章 印象の変化

レストランの床は嘔吐物で汚れていたが、店主は全く不満を漏らさなかった。この人さえここで死ななければ、それは最高の幸運だった。そうでなければ、たとえ自分のせいでなくても、レストランで人が死んだとなれば、この店は絶対に続けられなくなるだろう。

「とにかく、ありがとう!俺、安建文は人に恩を受けるのが好きじゃない。今日の恩は必ず返すよ!」林逸の言葉に対して、安建文は気にしていなかった。

以前、二人は敵対関係にあったが、林逸が今回手を差し伸べて人を救ったのは、完全に楚夢瑤の顔を立てたからであり、安建文も心の中ではそれをよく理解していた。

感謝の眼差しで楚夢瑤を見つめ、「瑤瑤妹、建文兄さんが昔お前に良くしてやったのは無駄じゃなかったな!」

陳雨舒については、安建文はもう何も言うことがなかった。この娘はこういう性格で、気に入らない人を見ると徹底的にやり込める。安建文はどうやってこの小さなお嬢様の機嫌を損ねたのか分からなかったが、この娘は自分に対していつも冷たかった。

「何でもないわ、あなたが無事でよかった」楚夢瑤は安建文に命の危険がないのを見て安堵した。「でも、林逸の言う通り、胃洗浄をした方がいいわ。そうすれば問題ないから」

いつの間にか、楚夢瑤は林逸を自分の百科事典のように扱うようになっていた。林逸の言葉は、いつからか、楚夢瑤に深い影響を与えるようになっていた。

「もちろん...」安建文は笑みを浮かべながらそう言ったが、心の中では痛みを感じていた。かつては楚夢瑤も自分の言うことをこのように聞いていた。この「お兄さん」の言葉を真理のように受け止め、誰かが彼女と議論しようものなら、すぐに怒っていた。しかし時が過ぎ、別の男が彼女の人生に現れた...

安建文は諦めきれなかった。もともとは、留学から帰ってきたら、正式に楚夢瑤に交際を申し込むつもりだった。この時、楚夢瑤はちょうど大学に入ったばかりで、楚家の家訓によれば、楚夢瑤がこんなに早く恋愛することは許されないはずだった。だから安建文は自信満々に松山市に戻ってきたのだが、事前に楚夢瑤の状況を調べることもせず、急いで訪ねることもせず、まずは当時松山の四天王の一人だった蘇台早を訪ねて旧交を温めた。