第0269章 二人で一緒に飛ぶ

麻ちゃんは元々適当に電話をかけるふりをして、楚夢瑤の要求を断るつもりだったが、陳雨舒が林逸と一緒にバンジージャンプをすると聞いたとき、麻ちゃんの心がまた動いた！

この男も、ボスの厄介事の一つのようだ。もしこの機会に、この男を殺すことができれば、無駄な準備ではなかったことになる。そう考えて、麻ちゃんは勝手な判断をせず、張宇宙に電話をかけた。

「宇宙兄さん、状況に少し変化がありました！」麻ちゃんは声を低くした。

「おや？どうしたんだ？」張宇宙の心は緊張した。まさか計画がまた失敗したのではないか？

「楚夢瑤はもうバンジージャンプの準備をして、ロープも装着していたんですが、突然怖気づいて、飛び降りる勇気がなくなったんです…」麻ちゃんは小声で言った。

「怖くなったのか？」張宇宙は眉をひそめた。「もし彼女がどうしても飛ばないなら、無理強いするな。小さなことで大きなものを失うな！」

「そうではないんです、宇宙兄さん。今の問題は、陳雨舒がジャンプしようとしていて、しかも私たちが細工をした綱を使おうとしているんです。どうしましょう…」麻ちゃんが言い終わる前に、張宇宙に遮られた。

「あの陳雨舒には手を出さない方がいい。手を出せば大問題になる可能性がある！」張宇宙は陳雨舒がどんな背景を持っているのか知らなかったが、花火兄さんの背後にいる人物さえも警戒していると聞いていたので、簡単に手を出せる相手ではないことは明らかだった。

「彼女は林逸と一緒に飛ぶつもりです。これはチャンスだと思うんですが…」麻ちゃんは言った。

「林逸が彼女と一緒に飛ぶ？ちょっと待て…」張宇宙は心が動いたが、自分では決められなかった。彼は金冒生と相談する必要があった。電話を一旦脇に置き、張宇宙は麻ちゃんの言葉を金冒生に繰り返した。

金冒生はわずかに躊躇した後、歯を食いしばった。「やれ！毒を持たぬ者は丈夫にあらず。やらせろ。陳雨舒が死んでもトラブルはあるだろうが、楚鵬展の遊園地での事故死なら、陳家と楚家の関係を考えれば、追及されることもないだろう。せいぜい身代わりを一人差し出せば済む！しかし林逸が死ねば、次に楚夢瑤に手を出すのがずっと楽になる！」