「ふふ……お腹が空いているのね……」林逸は笑いながら言った。フカヒレを食べられる人に貧乏人がいるだろうか?毎日山海の珍味に囲まれていれば、誰が肉を食べたいと思うだろうか?陳雨舒もただ空腹だったから美味しく感じただけで、普段ならサメの肉は決して食卓に並ぶ鯉や鮒などの一般的な魚の肉ほど新鮮ではない。
多くの漁師はサメを捕まえると、ヒレ、つまりフカヒレだけを切り取って、サメを海に戻す。この行為は少し残酷だが、サメの肉が美味しくなく、人気がないことの証明でもある。
市場で最も安価な魚団子の多くはサメの肉で作られており、その理由もコストが低いからだ。
しかし、フカヒレについては、林逸は食べる気分ではなかった。この時は肉を食べる方が実用的だと思った。
陳雨舒の食欲はあまり大きくなく、サメの肉が美味しいと思っても、二切れ食べた後はもう食べられなくなり、横に座って小さなお腹を抱えた。「お腹いっぱい。でもすごく美味しかった。アローさん、残りのサメの肉を家に持って帰りましょう。瑤瑤お姉さんにも味わってもらいましょう!」
良いものがあると、陳雨舒は楚夢瑤のことを忘れなかった。彼女たちの関係が本当に良いことがわかる。よく口喧嘩をするが、姉妹の情は本物だ。
「それは福おじさんと連絡が取れてからの話だ」林逸は携帯のバッテリーを取り出し、携帯を砂浜に置いて、乾かそうとした。
携帯の基板の水分が蒸発し、錆びによる腐食が始まる前なら、携帯は短時間使用できる可能性がある。基板が完全に錆びて腐食すると、完全にダメになる。
これは林逸が以前友人から聞いた話で、試してみることにした。
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遊園地のバンジーバレーで事故が発生した。本来、これは刑事課の管轄ではなく、重大事件でもない。しかし、陳雨舒が関わっているため、局長からの命令で、宋凌珊は自ら率いて遊園地に来て事件の経緯を調査することになった。
一方では当時の目撃者を探し、もう一方では海上警察に電話して支援を要請し、近くの海面で捜索を行った。
しかし正直なところ、ロープで足と腰を縛られた状態では、泳げる人でも落ちたら生還の望みはほとんどない。全身がロープで縛られていては、どうやって泳げるだろうか?