齊明は法船の甲板の周りを見渡したが、師匠の馮子牧の姿は見えず、峰主の苗宏劍一人だけが、法船を操縦していた。
齊明は目を伏せ、何も言わず、何も尋ねず、ただ法船の速い進行とともに後退していく周囲の景色を眺めていた。
「齊明」
苗宏劍は優しい口調で、微笑みながら言った。「これはお前が初めて『天啓仙山』に行くことになるな。外界では、南域の修行者たちは天啓十二峰の名を知っているが、本当の『天啓仙山』を知る者は多くない」
「なぜだか分かるか?」
「弟子には分かりません」
齊明は答えた。
「それは彼らにその資格がないからだ」
苗宏劍は誇らしげな表情で、重々しく言った。「天啓宗において、天啓十二峰は外に名が知られているが、実際には天啓宗の『分宗』と『外宗』に過ぎない」
「『天啓仙山』こそが『主宗』なのだ」
「外界では、一般の修士には『天啓仙山』の存在を知る資格すらない。そして『天啓仙山』を知る資格のある修士も、『天啓仙山』について軽々しく語ることはできない」
「つまりだな」
「『天啓仙山』に足を踏み入れることができれば、それはすなわち『仙門』に片足を踏み入れたことを意味し、将来の成仙が期待できるということだ」
「弟子には分かりました」
齊明は厳かに頷いた。
「うむ」
苗宏劍は満足げに頷き、「だからこそ、お前は全力を尽くして天啓仙山に入らねばならない。怠けてはならんぞ」
「それと、これから宗主に謁見する際は、宗主が何を尋ねても、それにだけ答えよ。宗主の前で嘘をついてはならない」
「はい」
齊明は再び頷いた。
時が流れた。
二人とも黙り込んでいた。
「はっはっは……」
苗宏劍も雰囲気が重くなったと感じたのか、笑って場を和ませようとしたが、齊明が一言も発しないのを見て、少し気まずそうな様子を見せた。
「こほん……」
苗宏劍は軽く咳払いをした。
法船は高速で前進し、多くの山脈を横切り、さらに上昇を続けた。齊明の視界の中で、下方の山々や山脈が徐々に小さくなっていった。
しばらくして。
法船は雲霧の中に入った。
「齊明」
苗宏劍は齊明に説明を始めた。「我々が今いる位置と高度は、雲霧層だ。さらに上に進み、雲霧層を通過すると『罡氣層』に到達する」
「『罡氣層』を通過すると『虛無層』に達する」