「下品霊石を十万枚チャージして、『無相真經』を放置修練する」
齊明は即座に『無相真經』を第二放置スロットに設定した。
「ディン!」
「『無相真經』は一万倍の増幅状態で放置修練中……」
通知が表示された。
第三放置スロットはまだ空いたままだ。
翌日。
午前中。
齊明は元鳳が息を切らしながら一人で駆け上がってくるのを見た。彼女は何かを抱えており、特殊な布で隙間なく包んでいて、他人に気付かれないよう細心の注意を払っているようだった。
「師叔、師叔……」
元鳳は大声で呼びかけた。
「うん」
齊明は一瞥すると、軽く「おや」と声を上げた。視線は元鳳の後ろに向けられた。蕭凡が黒い外套を纏い、巨大な無鋒重劍を背負って山を登ってくるのが見えたからだ。
「二人とも来たか」
齊明は小声で呟いた。
「先...先輩……」
元鳳は齊明の視線に気付き、また彼の言葉を聞いて、はっとして振り返ると、後ろにいる蕭凡を見つけた。一瞬驚いた後、すぐに我に返り、そう呼びかけた。
「ああ」
蕭凡は軽く頷き、凛とした美しい顔は冷たく見えたが、それでもかなり格好良かった。「元妹弟子も齊師叔を訪ねてきたのか?」
「はい、はい」
元鳳は何度も頷いた。
実は。
元鳳は蕭凡という先輩に対して悪い印象は持っていなかった。同じ師匠の弟子であり、蕭凡の人柄も振る舞いも申し分なかった。
だから。
二人は仲の良い先輩後輩だった。
ただ一つ。
元鳳から見て、この蕭先輩は少し頑固なところがあった。
「築基したのか?」
齊明は蕭凡の変化を感じ取り、そう尋ねた。
「……はい」
蕭凡は明らかに一瞬戸惑い、齊明が自分の修為を言い当てるとは思っていなかった。すぐに心の中で『丹老師』に尋ねた。「師匠、『四方龜息訣』を修練すれば、自身の気配を完全に隠せて、全力で功法を運転しても修為が察知されないと言っていたではありませんか?なぜ齊師叔にすぐ見破られたのですか?私はまだ功法を運転してもいないのに!」
「こほん、こほん……」
指輪の中の『丹老師』は軽く咳払いをし、少し困ったような様子で、「これは……その……、たぶん適当に言っただけだろう、気にするな」
「本当かな?」
蕭凡は少し疑わしげだった。
四方龜息訣。