第25章 圧倒！

クラブのロビーには血が飛び散り、血だまりの中の男の体がまだ痙攣していた。完全に死んでいないようだった。

しかし、そのことがより一層、人々の心を震撼させた。

「ああ...殺人だ、本当に人を殺した！」

悲鳴とともに、群衆は慌てて逃げ出した。一般人は血と死に対して恐怖を感じるものだ。

萧塵はただの冗談か、気が狂ったのだと思っていたが、まさか本当に人を殺すとは。それも胡立斌の目の前で。

「お前...」

様々な経験を積んできた胡立斌でさえ、この時ばかりは背筋が凍る思いだった。彼も萧塵が言い争いで人命を奪うとは思っていなかった。しかもその手口は尋常ではない。

しかし、恐怖よりも怒りの方が大きかった。

「なるほど、度胸があるな。お前を見くびっていたようだ。だがこれで俺を怖がらせられると思うなら、胡立斌を甘く見すぎだ。」

野次馬たちが慌てて逃げ出し、会場はやや閑散としていた。

しかしその時、凶悪な表情の黒服の男たちが次々と流れ込んできて、内も外も何重にも萧塵を包囲した。五、六十人はいただろう。

これらは全て彭超が育てた手下たちで、仲間が血だまりの中に倒れているのを見ても怯むどころか、むしろ好戦的な様子を見せていた。

彼らの仕事では、することがないのが一番怖く、一生出世できないことを恐れていた。

今、強者が現れたことは、まさに彼らのチャンスだった。

もし萧塵を倒して胡立斌の評価を得られれば、胡立斌が彭超の前で良い言葉を掛けてくれて、一気に出世できるかもしれない。

先ほどの屈強な男も、そういう心理から一人で前に出て萧塵を嘲笑い、胡立斌の前で自分を示そうとしたのだ。

残念ながら、運が悪く、萧塵の残忍さを見くびっていた。

「人海戦術でくるつもりか？」

五、六十人の包囲に直面しても、萧塵は全く動じず、むしろ微かな嘲りを浮かべていた。

「実はお前らのようなゴミを殺しても、俺にとってはあまり意味がない。今日はお前らのボスに会いに来たんだ。今すぐ電話して、ここに来させろ。そうすれば、まだ余地はあるかもしれない。」

「何を言っている？」

胡立斌の表情が再び変わり、萧塵が人を殺すのを見た時以上に怒りを露わにした。

「分からないのか？」萧塵は冷たく言った。「お前らは彭超の手下だろう？もう一度言う。電話して彭超を呼びつけろ！」