「勝ったの?」
夏明峰と江漫天は信じられない表情を浮かべた。
この結果は予想外すぎた!
潘家に投票した他の多くの人々は顔を見合わせ、不安を感じていた。
彼らは情勢を見誤ったようだった。
各勢力の大物たちが駆け引きをする中、小規模な家族は誰も敵に回したくないため、大きな流れに従うしかなかった。
潘家が優位に立っていると思い込み、その流れに乗って潘家に投票したのだ。
しかし実際は、夏家を支持する人の方が多かったとは?
「司会者、見間違えたんじゃないのか?」柳正豐は怒鳴った。「こんな事で冗談は通用しない!」
司会者は手元の報告書をもう一度確認して言った:
「柳家長、投票結果は夏家が二十二票、潘家が十票です。間違いはありません。」
この時、審査員席からも声が上がった:「柳家長、今回は確かに夏家の勝利です。疑う余地はありません!」
柳正豐はそれを聞き、最後の一縷の望みも消え去った。
審査員席の面々は江南の名士たちで、徳望も高く、夏家のために不正をするはずがなかった。
「姚さん、これは……」潘世權は焦りで落ち着かない様子だった。
「私にできることはすべてやりました。うまくいかなかったのは私の責任ではありません!」
潘家の落選について、姚萱も少し意外ではあったが、潘世權や柳正豐のように深刻に受け止めることはなかった。
しかし、范南星が彼女の注意を引いたのは確かだった。
……
「はっはっは……夏明峰、運が良かったようだな!」
江漫天は大声で笑った。
夏家の台頭により、江家のこれまでの努力が無駄にならずに済んだ。
夏明峰も心中では非常に興奮していたが、まるで夢のように現実感がなかった。
「江家長、何か変だと思いませんか?」
江漫天はその言葉を聞き、しばらく考え込んでから言った:「確かに、范會長が出てきたとしても、賈家や歐陽家は逸仙公子側に付くはずだった。」
江家と柳家は二つの派閥に分かれていた。
江家内部の派閥の人々は、逸仙公子のために裏切ることはなく、依然として夏家を支持するはずだった。
本当に影響を受けたのは、もともと中立だった家族勢力だった。
例えば賈家や歐陽家などだ。
賈家、歐陽家などの家族は、地位こそ江家や柳家には及ばないものの、江家や柳家に絶対服従する必要もなかった。
彼らは中立で、機を見るのが上手かった。