孫心月は先に出て行った。
その時、鄭璇は言いかけて止めるように叫んだ。「蕭様……」
萧塵は彼女を一瞥し、淡々と言った。「お前の任務は終わった。この件を処理したら、報酬を渡す!」
「そういう意味ではなくて、私が言いたいのは……心月に手加減してもらえないかということです。彼女は利用されているだけなんです。」
実際、鄭璇は今でもどういうことなのか理解していなかったが、何か単純ではないことが起きていると薄々感じていた。
孫心月の言葉や表情から、彼女の師匠である馬毅が非常に手強い人物であることは間違いなかった。
しかし萧塵も絶対的な自信を持っていた。そうでなければ、孫心月の師匠を自ら探しに行くことはなかっただろう。
もし二人が戦えば、孫心月は確実に巻き込まれるだろう。
「できる限りのことはするが、保証はできない。状況次第だ。自ら死を求める者を、誰も止められない!」