第33章 白小樓

以前なら、劉さんの事務室に一人で入るだけで気を失いそうになっていた葉錯だが、今は全く気にせず、大股で中に入っていった。

「劉部長、来ました」葉錯は劉さんが話す前に、ソファーに腰を下ろし、目の前のテーブルにある果物を見て、リンゴを一つ取り、拭いながら劉さんに言った。「一つ食べますが、いいですよね?」

劉さんは普段と違って笑みを浮かべた。「どうぞ、好きなだけ食べてください」

葉錯は微笑んだ。心に少し疑問を感じたが、口には出さなかった。

劉さんも十分な忍耐力を持って、葉錯がリンゴを食べ終わるのを待ってから言った。「今日なぜ呼んだか分かりますか?」

葉錯は少し考えて:「五千元の罰金を払えということですか?」

劉さんは笑って:「その罰金はもう払わなくていい。誰かが代わりに払ってくれたんだ」

「誰が?」これには葉錯も予想外だった。

劉さんは言った:「それが私も気になるところなんだ。君と秦家とはどういう関係があるんだ?なぜ彼は罰金を払っただけでなく、病院まで行って、君が殴った体育会系の学生たちに一人一人お金を渡して、警察に通報しないように頼んだんだ?」

「彼が?」葉錯は心の中で納得した。自分が彼の祖父を助けたから、この程度の面倒を見てくれるのは当然だ。

葉錯は心の中で、病院での自分の行動が一般人とは違いすぎたため、秦家が自分を投資する価値のある人物だと判断し、このように好意を示してきたのだと分かっていた。

葉錯は前世で海外で生活していたため、国内のどんな大家族があるのか知らなかった。しかし葉錯が最も嫌うのは、こういった大家族と付き合うことだった。他人のために命を張るような感覚が好きではなかった。

そして秦家のこの好意も、彼は気にしていなかった。結局、彼は既に秦せんせいの病気を治療していたのだから、この数千元の罰金など、それに比べれば取るに足らないものだった。

葉錯は心の中で秦扶蘇の恩を感じていたが、それほど重要視はしていなかった。このような小さな恩は、彼にとって簡単に返せるものだった。

劉さんは終始葉錯の表情を観察し、何か読み取ろうとしていた。しかし彼は蘇雅ではないので、いくら見ても葉錯が何を考えているのか分からず、仕方なく尋ねた:「君と秦家は、どうやって知り合ったんだ?」

葉錯は眉を上げた:「それは秦扶蘇に聞いてください」