第109章 チンピラのボス

その寮室は葉錯に蹴り開けられたが、中にいた数人は前の寮室の人々のように葉錯に怯えることはなく、寝転んだり座ったりしながら、まったく気にしない表情を浮かべていた。むしろ一人は足の指の間を掻いており、部屋中に酸っぱい臭いが漂っていた。

葉錯がこれほどの物音を立てたのだから、彼らが気付かないはずはないのに、誰一人として葉錯をまともに見ようともしなかった。

秦浩は入り口で、中に入る勇気もなく、首をすくめながら言った。「葉さん、もういいじゃないですか。中にいるベッドに座ってる奴はネズミくんって言って、すごく強いんです。あいつら手加減知らないし、僕たちじゃ太刀打ちできません。」

葉錯は笑みを浮かべた。「ただのネズミだろう。何が怖いんだ?」

葉錯は今日、雲海高校で最も恐れられるべき存在は他でもない自分だということを、全員に知らしめるつもりだった。