劉さんと寮監は、顔を腫らした高校生たちを引っ張って、寮を出て行った。
後ろでは、群衆から歓声が上がり、人混みに隠れていた張天哲は、怯えて端に縮こまり、こっそりと逃げ出した。
葉錯はそれを見たが、微笑むだけで何も言わなかった。張天哲は今や道化者となり、もはや波風を立てることはできないだろう。
葉錯は秦浩たち数人の生徒を連れて寮を出ようとすると、廊下の人々は一斉に通路を空けた。
秦浩と先ほど殴られた数人の生徒たちは、来た時は震えて足がすくんでいたが、今では恐れる気持ちは全くなかった。葉錯と一緒なら、どこへでも行けるような気がした。
今日以降、葉錯の名は再び雲海中學校で広まることになるだろう。ただし今回は、前回の告白のように、嫉妬や嘲笑の的になるのではない。今日から全ての人が、学校に新しいボスが現れたことを理解するだろう。
葉錯はボスになる意思を見せていなかったが、学校のほぼ全ての男子生徒が、既に心の中で彼を新しいボスとして認識していた。不良グループでさえ、葉錯と連絡を取ろうと準備していた。
将来、葉錯という名前は必ず四大公子と同等の地位を得て、さらにはそれを超えることになるだろう。
高校部の寮を出ると、突然蘇雅が葉錯の側に現れた。
秦浩たちは見るなり、意味深な笑みを浮かべ、咳払いをした。「ゴホゴホ、リーダー、用事があるので先に行きます。」
そう言って数人は笑いながら走り去り、蘇雅と葉錯の二人が残された。
蘇雅は眉をひそめ、少し気まずそうだった。
葉錯は笑って言った。「僕に会いたかったの?」
蘇雅の小さな顔が一瞬で真っ赤になった。「誰があなたに会いたいなんて!いつもふざけてばかりで、デタラメばかり言って、見るだけでイライラする。」
葉錯は口角に微笑みを浮かべながら、わざと可哀想そうな表情を作った。「みんな蘇雅さんは一番優しくて、誰にも怒ったことがないって言うのに、どうして僕にはそれを感じられないんだろう?」
蘇雅は呆れ笑いをして言った。「あなたなんて大悪党、私に優しくしてほしいなんて、もう死にそうなくらいイライラさせられてるのよ。さっきは何があったの?あなたが部屋に入った後、私は寮監を探しに行ったけど見つからなくて、その後何があったの?」