第107章 虎を威す

葉錯は皆を見回し、また秦浩を見た。「秦浩、お前も行く勇気がないのか？」

秦浩は首をすくめた。「葉さん、やめておきましょう。あいつら人数が多すぎて、勝てませんよ。今や高校全体があなたを狙っているんです。身を隠した方がいいですよ。」

葉錯は言った。「お前、また昔のように毎日いじめられる日々に戻りたいのか？」

秦浩は苦しそうに言った。「でも、他に何ができるんですか？葉さんは強いかもしれませんが、高校部の全員と戦うわけにはいきませんよ。この間、あなたと一緒に輝かしい日々を過ごせただけでも十分です。僕はいじめられる運命なんです。もう諦めました。」

葉錯は少し怒りを覚えた。「馬鹿を言うな！生まれついていじめられる運命なんてない。『王侯将相寧有種乎』という言葉も知らないのか？そんな度胸もないなら、いじめられて当然だ。」

秦浩は葉錯に叱られて俯いた。「葉さん、前回八組とのバスケの試合の時、僕の家のスイカを全部買ってくれて、両親もとても感謝してます。僕を兄弟のように思ってくれているのは分かってます。本当に光栄です。僕、秦浩はただのダメ人間で、一生何もできないけど、あなたを兄貴として持てたことは、誰よりも幸運だと思ってます。葉さん、今回は諦めましょう。白小樓とは戦えません。今回は我慢しましょう。」

白小樓は雲海高校の生徒たちの心の中で、あまりにも強大な存在だった。葉錯は最近勢いがあるとはいえ、みんなは彼が白小樓に対抗できるとは思っていなかった。ストリートバスケでダンクができる選手に出会っても、その選手がNBAスターに勝てるとは誰も思わないのと同じように。

葉錯はそのダンクができる選手のような存在で、みんなは彼に驚嘆はしていたものの、白小樓はNBAスターのような存在で、みんなの心の中では無敵の存在だった。

葉錯はもちろん皆の考えを理解していたが、彼自身は白小樓を全く眼中に入れていなかった。前世で世界最高峰の殺し屋として、葉錯はあらゆる荒波を経験してきた。この小さな学校で、たとえ土地の主がいようとも、強い龍を押さえつけることはできないはずだった。

しかし葉錯は、今自分が置かれている状況を理解していた。

白小樓は直接自分に手を出さず、自分を狙うという噂を流しているだけだった。その目的は自分を孤立させ、戦わずして退かせることにあった。