第123章 記憶喪失

密室の中で、葉錯は內功を運転し、一筋の冷気が両目を通り抜けた。葉錯は次第にこの絶対的な暗闇に慣れ、密室の壁に触れた。一道の真気が手のひらから壁を通り抜け、密室全体を探った。

「なんてこった、まさか一枚の鋼板で鋳造されているとは。どうすればいいんだ？」葉錯は一周して、また機関の扉の所に戻った。

この種の機関の扉は一方通行で、外からは葉錯が開けられるが、内側は滑らかで突起もなく、鋼鉄で鋳造された壁と隙間なく合わさっており、まったく力が入らなかった。

葉錯は焦りながら、軟剣を抜いて扉の隙間に差し込み、何度か揺らしてみたが、錠を見つけることはできなかった。

葉錯の心に焦りが生じ、別の方法を考えようとした時、突然、背後にかすかな光が見えた気がした。光源のないこの絶対的な暗闇の中で、葉錯は光に対して非常に敏感で、すぐに振り返った。

氷棺の中の少女の体からかすかな光が漏れ出し、全身が薄絹を纏ったかのようだった。その光は彼女の体の内部から発せられているようで、彼女自身が光源となり、聖なる輝きを放っていた。

葉錯は呆然と見つめた。「これは一体どういうことだ？」

「カチッ」「カチッ」という軽い割れる音が聞こえ、少女の体を囲んでいた氷に蜘蛛の巣状のひびが入り始めた。

葉錯は頭皮がゾクゾクした。「うわっ、生き返るのか？」

「パン」という脆い音とともに、無数の氷の破片が散り、氷の中に封印されていた少女がゆっくりと目を開けた。その瞳には迷いの色が浮かんでいた。

葉錯は扉の前に立ち、妖精のような少女が水晶の棺から起き上がるのを目を見開いて見つめていた。

……

船室の外で、イトウは大股で歩きながら言った。「巫女が目覚める日は確定したのか？」

「はい、今日です！」ミヤコが答えた。

「よし、タイミングを逃すな。彼女が目覚めた直後に、我々が側にいて記憶を植え付けねばならない。巫女は眠りにつく度に記憶を失う。目覚めた時に我々が最も信頼される存在にならなければ、大きな問題となる。」

ミヤコは後ろから言った。「目覚める日は今日です。密室の外には見張りを配置しており、問題は起きません。」

「それは結構」イトウは冷たい表情で、鋭い眼光を放った。

……

密室の中で、葉錯は目の前の少女を疑わしげに見つめていた。