第238章 態度の変化

葉錯は実際、自分が英雄令主であることを言いたくなかった。第一に、蘇家は楊家のような小さな家族ではなく、彼らは必ずしも秦家を恐れているわけではない。第二に、彼は秦家の威厳を借りて人を脅すような人間ではなかった。

面子は常に自分で稼ぐものであり、狐が虎の威を借りるようなことをしても、いつかは見破られる。

ただ、今回初めて蘇父さんと対面する中で、葉錯は自分が秦家のために働く使用人ではなく、双方が協力関係にあることを明確にする必要があると感じた。

葉錯はいつも先に秦家のために仕事をし、その後で報酬を受け取っていた。

このことを明確にしなければ、蘇父さんは自分を受け入れるのが難しいだろうと思い、葉錯はすぐに自分の身分を明かした。

彼は自慢するためではなく、蘇父さんに自分の実力を示すためだった。

案の定、その言葉が口から出た瞬間、その場にいた全員が固まった。蘇父さんと蘇母さんは信じられないという表情で葉錯を見つめていた。

彼らは知っていた。秦家の英雄令主は一人一人が妖魔級の存在で、神龍のように姿を現すことは稀であり、英雄の令を持っていなくても、彼らに手を出す勇気のある者はほとんどいない。

蘇家は秦家の面子を立てるためだけでなく、これらの英雄令主に対しても敬意を払っていた。結局のところ、実力のある者はどこへ行っても尊敬を受けるものだ。

蘇父さんと蘇母さんは目を合わせ、その眼差しには信じがたい思いが浮かんでいた。

蕭劍天もこの時、驚いた様子だった。

彼は蘇父さんの反応を見て、心の奥底から何か脅威を感じ始めた。

「英雄令主?私も聞いたことがある。秦家の客卿だと言われ、一人一人が妖魔級の存在で、普通の人間には手が出せないと。この若い兄弟、あなたはそうは見えないが」蕭劍天は淡々と言い、皆の心の中にある英雄令主という身分への疑問を口にした。

葉錯は彼と無駄話をする気はなく、ポケットから黒いカードを取り出した。

このカードの素材はプラスチックでも鋼鉄でもなく、非常に特殊に見え、刀でも切れず、火でも燃えず、手に持つと重みを感じる。

蘇父さんは一目見て、これが本物の秦家英雄令だと分かった。

本当に英雄令主だったのだ!

蘇父さんと蘇母さんは目を合わせ、葉錯を見る目がすぐに敬意に満ちたものに変わった。