蘇老爺様は生涯数多くの奇人や奇事を経験してきたが、葉錯のこの一撃に現場で呆然としていた。彼は刀の先で転がる血の滴を呆然と見つめて言った。「これは……武を修めた者の最も貴重な精血か?」
蘇老爺様が聞いたところによると、武を修める者が先天の達人の境地に達すると、日月の精気を吐納し、天地自然の道を感得し、勢いに従い、天地間の霊気を己の身に容れ、精血として凝練することができるという。
精血は武を修める者の一生の蓄積であり、彼らの命脈でもあり、命よりも大切なものだ。
それなのに葉錯は、自分の命の危険を顧みず、心臓の奥底から精血を取り出し、蘇老爺様を救おうとしている。これは蘇老爺様を非常に驚かせた。
彼は今、葉錯を抱きしめ、涙で襟を濡らすほど泣いている蘇雅を見て、心の中で思わずため息をついた。「ああ、葉くん、なぜそこまでするのだ。もしお前が死んでしまったら、この老いぼれが生き延びたとしても、どんな顔でこの大切な孫娘に会えばいいのだろうか?」
「老爺様、早く……」葉錯は今、明らかに弱っているのが見て取れた。まるで一気に重病にかかったかのように、頬までもこけていた。
彼は蘇老爺様の手を支え、口を開けさせ、その一滴の精血を蘇老爺様の口の中に滴らせた。
蘇老爺様は、精血が一度取り出されると、もう戻すことはできないことを知っていた。自分が飲まなくても、無駄になってしまうだけだ。
仕方なくため息をついて、その一滴の金色の血液を飲み込んだ。
葉錯の精血が口に入るや否や、蘇老爺様の精神は明らかに震え、まるで数歳若返ったかのようだった。
彼の全身が軽くなり、病床から立ち上がり、拳を握りしめると、全身に力がみなぎり、先ほどまでの大病後の衰弱感が一掃された。
葉錯の精血は、龍神の功の第三段階を修練した後に凝練されたものだった。
龍神の功は現在、全部で九層に分かれている。第一層は歸元、第二層は気凝、第三層は血化、第四層は鱗変、第五層は骨錬、第六層は真髄、第七層は意志変化、第八層は龍威、第九層は真龍変化の境だ。
第十層には化龍があるとも言われ、突破すれば龍に化身し、虚空を破って別の世界に入ることができるという。しかし葉錯は前世でもそこまで修練できなかった。なぜなら彼に教えたじじいは九層までしか伝授しなかったからだ。