始めから終わりまで、方晴は蘇乘羽が石破金を殺した真犯人だとは信じていなかった。たとえ許南枝が自ら言い、監視カメラが蘇乘羽の後ろ姿を捉えていたとしても。
方晴は誰かが彼を助けたと考えており、その人物は必ず許南枝が手配した者だと思っていた。
許南枝の背後には洪鎮亭がおり、洪鎮亭の配下には霖江一の高手である任千重や、十大高手の第六位である李元滄など、実力者が揃っていた。
蘇乘羽が一指で彼女の連環掌法を破ったとき、彼女は完全に目が覚めた。道化師は自分自身であり、天地の高さも知らない者も自分自身だったのだ。
方晴はこの現実を受け入れがたかった。彼女は十年以上かけて內勁大師になったというのに、あの笑い者の蘇乘羽がどうやってこんなことができたのか?
蘇乘羽は言い終わると、もう方晴に構う気もなく、背を向けて立ち去ろうとした。
「石破金を殺したのは、本当にお前なのか?!」方晴は悔しそうに言った。
「そうだとしてどうする?奴は俺を殺そうとした。俺が奴を殺してはいけない理由でもあるのか?俺を捕まえたいのか?お前のその取るに足らない実力では、俺を捕まえることはできないぞ。」
方晴が傲慢なら、蘇乘羽は彼女以上に傲慢だった。
「でもどうやってそんなことができたの?まさか、これまでずっと実力を隠していたの?一、二十年も耐え忍んで、本当によく我慢できたものね!」
今や事実が目の前に突きつけられているにもかかわらず、方晴は蘇乘羽が幼い頃から練武を始め、ただずっと実力を隠していただけだと考えていた。
それも大したことではない。自分の才能があれば、龍魂司に入って、龍魂司の資源を得れば、必ず蘇乘羽に追いつき、打ち負かすことができるはずだ。
「お前には関係のないことだ。知る資格もない。」
蘇乘羽はもう方晴という女とこれ以上無駄話をする気はなく、真っすぐに廃墟を後にした。
「蘇乘羽、よく聞けよ。今日は確かにお前に負けた。でも、お前に得意になる資格なんてない。私、方晴は一度お前に負けたかもしれないが、二度と負けはしない。今日の屈辱、絶対に忘れない!いつか必ず、お前を打ち負かして、足下に踏みつけてやる!」
方晴は負けた。非常に悔しい負け方だった。彼女は骨の髄まで傲慢で、蘇乘羽を見下していた。